糖質ゼロの熾烈な争い、発泡酒市場を制するのはどこだ

糖質ゼロの熾烈な争い、発泡酒市場を制するのはどこだ


2月15日13時25分配信 ダイヤモンド・オンライン

 健康志向の高まりを背景に、糖質やカロリーを抑えた商品が増えている。2007年は猛暑の中、「ペプシネックス」vs「コカ・コーラゼロ」、コーラ・カロリーゼロの戦いが繰り広げられた。

 2008年、ゼロの戦いは発泡酒市場にも生じるとの声が高まっている。こちらの争点は「糖質ゼロ」。07年12月、キリンビールサントリー両社は、ともに糖質ゼロの発泡酒を発売することを明らかにした。

 そもそも発泡酒市場においては、02年「淡麗グリーンラベル」(キリンビール)が糖質70%オフを実現。現在でも糖質オフ市場の牽引役を担っている。そこへ07年3月、アサヒビールが業界初の糖質ゼロの発泡酒「スタイルフリー」を投入し、販売数量を好調に推移させている状態である。

 各社、糖質ゼロに力を入れる背景には08年4月から40歳以上の医療保険加入者を対象とした特定健康診査・特定保健指導の開始がある。健診でメタボリックシンドローム該当者などに判定された者は特定保健指導を受ける必要が出てきたのだ。これにより、ますます「糖質ゼロ」に対する需要は高まると予想される。

発泡酒もコーラのゼロ戦争の時と同じような戦いになる可能性は大きいと思います」

 キリンビール商品開発研究所長・佐藤章氏はすでに臨戦態勢を取りながらも、語り口からは勝利への自信すら窺える。

 それもそのはず、キリンゼロは糖質ゼロだけでなく、これまでの発泡酒の中で最も低カロリー、「カロリーオフ」と表示できる唯一の商品なのだ。

 とはいえ、機能性が高くてもお酒というのは嗜好品だ。味によっては売上を左右することもある。

 そこで、キリンゼロを試飲してみた。自社特許技術の採用、独自製法を新規開発したという味はキリッとしており、心地よい仕上がりだ。好みはそれぞれだが、「糖質ゼロ」「カロリーオフ」という機能性の高さを重視する人には嬉しい商品だといえる。

 ただし、キリンに対しては麦芽のうまみによる味わいや伝統といったものを求める人、発泡酒はどれも苦手という人には少々抵抗を感じる味かもしれない。

 カロリーオフの「キリンゼロ」、糖質ゼロを先行している「アサヒフリー」、そして本格的なうまさにこだわったサントリー「ゼロナマ」。3社による、発泡酒三国志となるのか。――と、いう状況下、影を潜めていたサッポロビールも「糖質ゼロの発泡酒を出す予定はある」(広報談)とのこと。

 国内ビール大手4社の投入がほぼ確実になった。過熱の様相を呈している糖質ゼロ戦争。ビール市場が縮小する中、発泡酒市場自体を押し上げる起爆剤となるのだろうか。

(江口陽子)