【トレンド】今夜は“ごはんにドレッシング”!?

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3月22日10時0分配信 nikkei TRENDYnet

 ごはんにドレッシング――。一瞬、「新しい節約料理か?」と耳を疑ってしまった。

 キユーピーが2月に発売した「ごはんにドレッシング」はその名の通り、ごはんにかけるドレッシングだ。しかし、ただごはんにかけるというわけではない。ボウルのような大きめの器にごはんを盛り、肉や魚と野菜を乗せて、その上から野菜サラダの要領でドレッシングをかけて食べる。

 発想のきっかけは、"カフェごはん"としておなじみのワンプレートメニューやサラダボウルだという。背景には、マヨネーズやドレッシングを主力とし、「野菜を食べよう」と大々的にアピールしてきたキユーピーが最近打ち出している"野菜の主菜化"がある。

 「仕事などで忙しいなか、調理時間を短くしたり、皿数を減らそうとしたりすると、食べたい気持ちがあっても、副菜である野菜サラダは削られやすい。そこで、副菜ではなく、主菜の一部として野菜を食べてもらうのが狙い」(キユーピー商品開発部・調味料チームリーダーの堀 直喜氏)という。

 そもそもキユーピーは、こういった新メニューの提案が得意だ。過去にはシーザーサラダやコブサラダなど、同社が飲食店などに提案して定番メニューになったものもいくつかある。そして今年、ドレッシング発売50周年を迎える同社が行き着いたのが、おかず、ご飯、野菜を一皿に盛る「サラダごはん」だったというわけだ。

 しかし、パッケージデザインはカフェ好きが好むようなおしゃれな感じではなく、いたって普通の容器。商品名も「ごはんにドレッシング」とそのまま。雰囲気で伝えたり、ひねりを加えたりするのではなく、簡単におかずと野菜をバランスよく食べられるという"機能"をストレートにアピールしている。

 味は「和風わさび風味」と「香味たまねぎ」の2種類。両方とも実際に食べてみたが、前者はあっさりとしたしょうゆ味で魚の刺し身などに向き、後者はこってりとした甘辛で鶏の唐揚げなどの肉料理に合いそうな印象。どちらもおかずとごはんにかけるからか、従来のドレッシングよりも味がかなり濃い。「どんな具材にも合うこと、温かいごはんやおかずにも合うように適度な酸味にすること、具材によくからむように粘度を持たせることを重視した」(キユーピー・堀氏)。具材は鶏の唐揚げや魚の刺し身、豆腐など、家庭の冷蔵庫に入っていそうなおかずはたいてい試したという。

 量は150mlと従来のドレッシングよりも少ないが、「あくまで新コンセプト商品であり、まず買いやすいサイズでトライしてもらいたい」(キユーピー・堀氏)というように、現時点ではテストマーケティング的な位置づけ。メインターゲットは主婦やOLだという。遅く帰ってきた夫に、冷蔵庫に残っている鶏の唐揚げなどを使っておかずと野菜のバランスがとれた食事を簡単に出せるというのは、働く主婦にとって大きなメリットだろう。

 一人暮らしの男性でも、スーパーで唐揚げや刺し身、カット野菜などを買うだけで、簡単に野菜がとれる食事を作ることができるのはありがたい。ただし、自分で作ってみて痛感したのは、満腹になるようにと、どうしてもおかずを詰めすぎてしまうこと。野菜が入っているとはいえ、"メタボボウル"にならないように注意して欲しい。

(文/山下 奉仁=日経トレンディネット)