サントリー3位浮上、低価格戦略サッポロ抜く ビール類上半期出荷量


7月9日8時2分配信 産経新聞

 平成20年1~6月のビール類の課税出荷量で、サントリーサッポロビールを抜き、シェア3位に浮上する見通しとなった。サントリーが半期のシェアで3位になるのは、昭和38年にビール事業を開始して以来初めて。関係者によると、両社が卸店などに販売した数量の差が100万ケース(1ケース=大瓶20本)以上開いており、工場から出荷した数量を基にした課税出荷量でもサントリーが上回ったとみられる。19年1~6月の出荷量を参考に推計すると、両社のシェアは0・5ポイント程度の差になる見通しだ
 サントリーは高価格ビール「ザ・プレミアム・モルツ」を中心に売り上げを拡大。昨年発売した第3のビール「金麦」のヒットも後押しし、今年1~3月の出荷量では過去最高のシェア12・8%を獲得し、3位のサッポロに0・5ポイント差にまで迫っていた。

 2月のキリンビールを皮切りに各社が原材料高を理由にビール類を値上げするなか、サントリーは9月まで缶商品の値上げを据え置くことを決めており、低価格戦略を推進。店頭での他社製品との価格差が鮮明になり、4月に値上げしたサッポロを一気に抜き去った格好だ。

 一方、サッポロは高価格ビール「ヱビス」は好調だが、昨年発売した新商品が軒並み不振で新しい柱が確立できずに苦戦していた。6月に発売した第3のビール麦とホップ」が健闘したが、一歩及ばなかったようだ。

 ビール市場は、1~3月の出荷量で前年実績を2・6%下回っており、4、5月も前年を割り込むなど市場環境は厳しい。一方で、下半期は夏場や年末にビール需要が増えるため、各社とも攻勢をかける。サントリーは9月に値上げを控え、反動減も予想されることから、年間を通してシェアは不透明な状況だ。