尾びれなくても「ど根性魚」…和歌山のアオバスズメダイ


3月8日17時16分配信 読売新聞

 和歌山県海南市船尾の県立自然博物館で、尾びれがなくなった状態で懸命に泳ぐアオバスズメダイが、「ど根性魚」と呼ばれ、人気者になっている。

 昨年9月、来館者から「変な泳ぎ方をしている魚がいる」と指摘され、同館の主任学芸員小阪晃さん(53)が、水槽にいる約100匹のスズメダイ科の魚のうち、1匹(約6センチ)の尾びれがなくなっているのを見つけた。網ですくって調べようとしたが、素早く岩陰に隠れてしまうため、そのままにしていた。

 長生きはできないと思われたが、魚は胸びれを上手に使って泳ぎ続けている。餌やりの時も、ほかの魚が食べきれず、底に沈んできたプランクトンを、下を向いた状態で食べている。

 細菌に冒され、尾びれが欠損したとみられるが、詳しい理由は分からないという。今年2月から、「ど根性魚」としてパネルで紹介している。小阪さんは「声援を送ってやってほしいですが、懸命な姿に、こちらが元気をもらえます」と話している。