白フナ
3月21日11時30分配信 カナロコ
ピク、ピクン…。1時間半ほど後、浮きが波紋を描いた。鋭く合わせると、大物の手応えが伝わってくる。「こりゃあ、でけえぞ」
慎重に手繰り寄せ、水面を割った魚体に腰を抜かしそうになった。「体が全部真っ白。こんなの初めてだよ」。“珍客”をびくに入れ、悦に入った。
県水産技術センターの主任研究員によると、突然変異で体が白くなるアルビノ変種ではなく、フナとコイ、もしくはキンギョとの雑種とみられるという。
男性は栃木県出身。横浜で港湾関係の仕事に就き、6年前の定年退職を機に川釣りを始めた。「酒もたばこもしないから、趣味が欲しくてね」。雨が降らない限りは、真冬でも毎日太公望となる。
食べる魚を釣るわけではなく、奥方には「あきれられているよ」。しかしシロヘビなど、古来、白色の珍しい個体は幸運の吉兆ともされる。「今日は、おっかあに自慢できる」と、笑ってフナを川に戻した。
個人の意見
>「今日は、おっかあに自慢できる」と、笑ってフナを川に戻した。
何と、釣りの精神を心得た素晴らしい人だろうか。