野良ガメ


3月31日16時9分配信 読売新聞

 東京都内の公園の池で飼い主に捨てられ、野生化した「野良ガメ」の駆除が続いている。

 その多くは、ミドリガメの通称で知られる外来種ミシシッピアカミミガメ。子ガメの時にペットとして飼われたものの、大きく成長して飼い主の手に余り、捨てられたらしい。繁殖力の強い外来種が、昔から池にすむ在来種のカメを脅かしているが、捨てられるカメは後を絶たない。

 東京都練馬区の都立石神井公園。武蔵野の面影を残す三宝寺池では春になると、NPO法人「生態工房」(杉並区)のメンバーが特殊なワナを仕掛ける。同法人は2007年頃から、都公園管理協会の委託を受けて、カメの捕獲・駆除に乗り出した。06年頃から、ミシシッピアカミミガメのほか、人間にかみつく恐れもあるカミツキガメなど、外来種が目立ち始めたことが契機という。

 NPOメンバーらは、ワナにかかったカメのうち、外来種は氷点下20度の冷凍機で安楽死させて公園敷地内に埋め、在来種はマークを付けて池に戻す。この3年で捕獲したカメは計360匹。

 このうち、外来種が8割近い279匹を占め、内訳はミシシッピアカミミガメ196匹、カミツキガメ67匹などだった。昔から池にいるクサガメ、ニホンイシガメなどの在来種は81匹にとどまった。

 「ミシシッピアカミミガメの寿命は30年以上とも言われるが、成長が早いため飼い主が持て余し、今も捨てられている」と、「生態工房」事務局長の佐藤方博さん(36)は話す。同法人は公園管理者の委託で、光が丘公園(練馬区)や井の頭公園(武蔵野、三鷹市)など都内7か所で、企業の助成も受けながら調査や駆除を行っているが、外来種のカメが在来種を駆逐する構図はどこも同じという。

 佐藤さんらは捕獲した外来種のカメを冷凍機に入れる前に、池のそばでタライなどに入れて来園者に見せ、捨てないよう呼びかける。足を止める人の多くは、体長数センチで緑色の甲羅を持つ幼いミシシッピアカミミガメが、20~30センチの黒ずんだ体に成長した姿に驚く。

 環境省カミツキガメなど97種を国内の生物多様性に悪影響を及ぼすなどとして、外来生物法で特定外来生物に指定し、輸入や飼育、遺棄などを禁止している。違反すると、懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金などが科せられる。ミシシッピアカミミガメは広く飼育されており、規制は現実的でないとして、指定が見送られている。

 都内の公園の水辺を20年以上前から観察する佐藤さんは、1980年代後半から外来種が増え始めたことに気づき、「このままでは外来種の楽園になってしまう」と危機感を抱いて、仲間と98年に生態工房を設立した。

 「カメ以外にも、ウシガエルオオクチバスブルーギルなど、都会の公園の池で目立つのは外来種ばかり。緑に囲まれた公園でも、水面下では、本来の自然が失われつつある現実を知ってほしい」と佐藤さんは話している。

 ◆生物多様性=様々な種類の生物が互いに影響を及ぼしながら、豊かな自然を形成している状態。1992年の国際会議で採択された生物多様性条約は、外来生物を地域の生態系や生物種を脅かす存在と位置付け、締約国に導入制限を求めている。今年10月には名古屋市で、同条約第10回締約国会議が国内で初開催され、多様性を守る共通目標などが話し合われる予定。

個人の意見

 手賀沼が26日に水門を閉めたのか、27日に水位が上昇して、以降は乗っ込み状況にあります。
カメさんは冬眠から覚めていないらしく、まだ見かけませんが、昨年を思い返しても水辺で見かけたのはミドリガメの大きくなった耳の赤いものばかりで、クサガメなどの在来種はほとんど見ませんでしたネ。