ため池:注意! 転落、水遊びで死亡も


6月11日11時22分配信 毎日新聞
 田村市内の農業用ため池で先月、水遊びしていた男性会社員(20)がおぼれて死亡した。県内にはため池が3730カ所(09年3月18日現在)もあり、07年以降で少なくとも5人が死亡。釣りをする人も多く、事故のたびに対策が課題として浮上する。しかし、数が多いうえ、管理する市町村や水利組合に財政的余裕がなく行き届かない。今後梅雨に入ると水かさが増して危険性が高まり、一層の注意が必要だ。【蓬田正志】
 事故は5月23日午後2時半ごろ、同市滝根町神俣で起きた。110番を受けた田村署などが捜索し、約1時間半後に岸から5~6メートル離れた深さ3メートルの底で、会社員を発見。間もなく死亡が確認された。水死だった。
 同署によると、会社員は友人3人と水遊びしていて、落としたサンダルを拾うために池に入ったという。通報した近所の60代の女性は「ポンプ車で水をくみ上げていたが、水が減らずもどかしかった」と話した。
 管理する田村市によると、ため池は最大で深さ4メートル。「きけん」と記した看板を立て、部分的にフェンスを設置して注意を呼びかけた。近くの70代の男性は「週末には釣り人がいることも多い」と指摘した。
 県農地管理課によると、農業用のため池は県中や相双に集中している。住宅に近いのも1829カ所あり、うち531カ所が全く安全対策が施されていないという。貯水量を増やすため深く掘られていることが多い。武田克美・同課長は「底が見えず、水が循環しないので深い所ほど水は冷たい」と危険性を指摘する。
 昨年2月、保育園児(6)が転落して死亡した南相馬市原町区雫(しどけ)のため池では事故後、管理する西川原水利組合が新しく注意を促す看板を設置した。いわき市では、釣り人がいるため、市農地課職員5人が外出時などにパトロールしているほか、春休みや夏休みの前には児童生徒が近付かないよう小中学校に指導を要請しているという。同課は「フェンスを設置しても壊して入る人がいる。対策はこれでも不十分かもしれないが、放置はできない」と話した。
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 ◇ため池での死亡事故◇
07年 3月 福島市で作業中の男性(59)が転落
08年 5月 田村市で栓抜きしていた男性(65)が転落
   10月 福島市で男性(61)がさおを取るため飛び込む
09年 2月 南相馬市で女児(6)が転落
10年 5月 田村市で男性会社員(20)がサンダルを拾うため入る

6月11日朝刊

個人の意見

 「水回りで悪さするのは釣り人」って考えられがちなので、些細なことでも注意しましょうね。