温泉地の土産物に竹づえ作り


6月19日17時2分配信 紀伊民報


 白浜町椿の住民有志が、椿温泉の新しい土産物にと、竹づえ作りに取り組んでいる。椿には温泉で白鷺(しらさぎ)が脚を治したという伝説があり、足腰強く健康になってもらい、椿を歩いてほしいとの思いを込めている。近く、区内にできたばかりの道の駅で販売したいという。
 脚を痛めた白鷺が、温泉に毎日脚を浸けていたところ、元気になって飛んで行った。この話を聞いた地元普門寺の当時の住職が「鷺の湯」と名付けて湯船を造ったのが、椿温泉の始まりという伝説がある。また、祈願すれば病気を治してくれるという薬師如来が、道の駅近くに祭られている。
 地元に住む吉田恭子さん(81)が伝説にちなんだ土産物ができないかと考えていたところ、上富田町朝来の阪本二郎さん(67)らからたくさんのコサンチク(ホテイチクやそれで作ったつえをもらった。コサンチクは一部、節の間が詰まっていて、昔から釣りざおや、つえとしてよく利用されてきた竹。それに焼き色を付けるなど加工し、土産物にすることにしたという。
 このほど、吉田さん宅に有志14人が集まり、つえ作りをした。ガスバーナーやガスコンロで焼き色を付けたり、節を焼いて一時的に軟らかくし、曲がっている部分を真っすぐにしたりした。吉田さんの知人で、手先が器用な自転車店経営、西屋勤一さん(68)=白浜町栄=の指導を受けながら、約50本を仕上げた。
 薬師堂を管轄する普門寺の総代会の了承を得た上で、住職に祈念してもらい、薬師堂のお守りを付けたり、椿薬師如来の名前を書いたりしたいという。
 4月にオープンした、公衆浴場がある道の駅「椿はなの湯」で、椿温泉の活性化に取り組む「椿おばやんの会」が毎週日曜に物産市を開いている。そこで販売し、売り上げの1割は「椿おばやんの会」の活動費として寄付したいという。価格は500円前後を予定している。
 有志の一人75歳の女性は「みんなで和気あいあいとつえを作るのが楽しい。売れたらうれしいし、一人でも椿に多く来てもらって、このつえで歩いてほしい」と話している。

個人の意見

 竹細工の生活用品が、ポリマーやカーボンに変わっていくのは寂しい限りです。