岡山の用水でザリガニ大発生

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 岡山市東区神崎町、住宅地の用水路に、大量のアメリカザリガニが出現。10日朝も約500メートルの範囲で折り重なるように密集したり、列をなしてうごめいたりし、異様な光景に「何万匹いるの」と気味悪がる住民も。

 地元の人によると、集まってきたのは9日昼ごろ。水は深い所で5センチ程度とほとんど流れていない用水(幅約1・8メートル)の底に、体長5~ 10センチサイズが数え切れないほど集まった。近くで鮮魚店を営む奥山正人さん(62)は「ずっと住んでいて、こんなに多くのザリガニは記憶にない」。

 県内の野生生物研究者らでつくる岡山野生生物調査会(岡山市)の吉鷹一郎事務局長は「非常に珍しい現象。原因としては水路や田の水量調整など人為的なものと、猛暑など自然環境の変化の両方が考えられる」と話す。

アメリカザリガニ増えすぎ 在来種で天敵作り
 八十年前に日本に入ってきたアメリカザリガニ。その名前がなければ外来種とは思えないほどなじみ深い存在だ。天敵のオオクチバスなどが駆除されるようになったため、アメリカザリガニが増え過ぎて湖沼の生態系にこれまで以上の影響を与えることが心配される。東京大の山室真澄教授らは、日本在来の動物を利用して、その被害を食い止める方法を探っている。オオクチバスに代わる第一の候補はカメだという。 (永井理)

 アメリカザリガニは一九二七年に食用ガエル(ウシガエル)の餌として米国から持ち込まれた。最もよく知られるブラックバスの一種、オオクチバスの国内流入も同時期だった。ともに分布を広げてきたが、外来種被害防止法ができて二〇〇五年、オオクチバス特定外来生物に指定されて駆除の対象になった。

 アメリカザリガニには「生態系の中に取り込まれているものはなかなか防除し難い」などの議論が出て結局、一ランク下の要注意外来生物に指定した。

 天敵が駆除されることでアメリカザリガニが増えて生態系への影響が大きくなる可能性が指摘されている。
水草食べ水質悪化

 「アメリカザリガニは水底の水草(沈水植物)を食べたり切ったりする。増え過ぎると水質が悪化する」と山室教授は話す。水中の植物が減るとリンやカリウムなどの養分が余り、アオコなどのプランクトンが増えるからだ。

 アオコが増えると水中に光が届かなくなり生態系が大きな打撃を受ける。スペイン北西部のチョサス湖では、湖の面積の97%あった沈水植物が、アメリカザリガニが増えたため、三年で10%にまで減ったという。両生類や水鳥も減った。千葉県や茨城県の湖沼でも水草が切られる被害が出ているという。

 山室教授はアメリカザリガニが何を食べ、何に食べられているかを明らかに示すため、炭素と窒素の安定同位体を調べた。体内の安定同位体の濃度は、エサとなる動植物に左右されるため、食物連鎖が推定できる。

 茨城県土浦市の宍塚(ししづか)大池で動植物を捕らえて調べたところ、アメリカザリガニイヌタヌキモやヒシなどの水草を食べ、ブルーギルオオクチバスに食べられていることが示された。
■やさしい天敵は?

 アメリカザリガニが増えるからといってオオクチバスを野放しにはできない。減らした後はどうするか。山室教授らは環境研究所と共同で、他生物への影響が少なくバスの代わりになる天敵を探っている。その第一候補がカメだという。「もともと日本にいるカメなら、バスほどの害はないはず」

 効果を試すため、水槽に水草アメリカザリガニ七匹、カメ一匹を入れ、水草がどう減るかを観察した。比較のため、ザリガニと水草の水槽、水草だけの水槽も設けた。

 その結果、イシガメを入れた水槽が最も水草の減少が小さかった。次にクサガメ、アカミミガメの順。ザリガニだけの水槽は四日で水草がほぼ全滅した。

 カメには(1)ザリガニを食べる(2)動き回ることでザリガニに警戒させて行動を抑える-の二つの効果があるという。アカミミガメは主に(1)、クサガメは(2)を示し、イシガメは(1)(2)両方の効果があることが分かったという。

 「日本固有のほうが、ザリガニを食べたり行動を抑えたりする効果があることが分かった」と実験した同大学院修士課程二年の千谷久子さん。一方で「アカミミガメとの競争や護岸工事で生息場所を奪われるなどして、イシガメも減っている」と懸念する。

 「固有の魚を守ろうとブラックバスだけを退治すると、アメリカザリガニが増える。すると池の底にある藻を食べ、魚の産卵場所がなくなるなどして、かえって数を減らすことにもなりかねない」と山室教授。「個々の生物を守るというだけではなく、生態系の全体を考えた対策が必要」と多様性保護の難しさを指摘する。
●記者のつぶやき

 アメリカザリガニの色はエサや環境で青くも白くもなると知らなかった。子どものころニホンザリガニだと思ったのは、小さくて赤くないアメリカザリガニだったらしい。

個人の意見

 外来生物問題で偏った考えを植え付けられてしまいそうですが、ザリガニやウシガエルこそ元祖・外来生物なのです。ザリガニはウシガエル外来生物)とともに80年前からいて、その食性と繁殖力から、おそらくとんでもない事をしてきたのに、何にも言われなかった帰化生物なんですよね。

 それから、30年くらい前の話ですけれど、収穫期の水抜きで水路がザリガニだらけになる事なんか珍しくありませんでしたよ。泥底が、モコモコずうっと動いていましたよ。水気のあるところは、ドジョウも大量にいましたが。