続報「クニマス」


産経新聞 2月5日(土)8時54分配信


 山梨県富士五湖の西湖畔にある「西湖野鳥の森公園」で、厳寒期恒例「樹氷まつり」が1月末から今月6日まで開かれている。富士山と樹氷のマッチングをカメラに収めようとアマチュア写真家らがカメラの放列をつくっているのだが、まつりの雰囲気が例年とは少々異なる。それもそのはず。約70年前に死滅したはずが、西湖で偶然発見された日本固有種の淡水魚「クニマス」が標本ながら公園のギャラリーに展示されているからだ。この時期、例年ならギャラリー入館者はまばらというのに、今年だけは珍しい魚をみようと連日ギャラリーは盛況そのもの。

 平成の淡水シーラカンスとでもいおうか、生きていたのが不思議だ。秋田県田沢湖にのみ生息していたクニマス。昭和15年ごろ、国策の発電事業のために強酸性水田沢湖流入したことで湖の魚類は全滅した。だがだれが思いついたか、クニマスの受精卵を採取し、いくつかの湖に放流していた。あれから70年もの年月が流れた。この間に田沢湖観光協会が賞金までつけて「どこかにクニマスが生きてはいないか」と探した。環境省レッドリストでは「絶滅」種に指定され、わずかな希望さえ持つことが許されない状況の中で、タレントの「さかなクン」がやってくれた。

 京都大の魚類学専門、中坊徹次教授がクニマスのコンピューターグラフィック製作で、類似するヒメマスのイラストをさかなクンに依頼したという。東京から車で1時間という近場の西湖にさかなクンがやってきたのが昨年3月。漁協関係者に刺し網で採取してもらったヒメマスを持ち帰り、中坊教授に差し出した。数個体の中に黒っぽい魚が交じり、研究の結果、これがクニマスと断定された。信じがたい事実だ。もし、さかなクンが隣の本栖湖や日光の中禅寺湖に行っていたら奇跡の発見はなかったかもしれない。

 ということで、樹氷まつりの初日(1月29日)、まつりに招かれたさかなクントークショーを披露。西湖に生息する魚類のイラストを描きながら、東京海洋大客員准教授らしく魚の特徴を説明。同湖に棲むヒメマスの学名「オンコリンカスネルカネルカ」をさらりといってのけると、お笑いタレントではない1面を知った観客からは“ギョギョ”とさかなクンのお株を奪うギャグが飛び出した。約1時間のトークショーの最後、さかなクンのひとことが決まった。「西湖は感動がいっぱいの湖」。

 一方、ギャラリーに展示されたクニマスは、ヒメマスより目の輪廓が大きく、魚体は灰褐色。はらわたは抜き取られた状態で、とても食用魚とは思えない。だが70年もの間、西湖で正体を知られずに交配を繰り返し、子孫を残し続けただけに、奇跡の魚と呼ぶにふさわしい。クニマス展示は6日で終了する。

個人の意見

>はらわたは抜き取られた状態で、とても食用魚とは思えない。

 難解な文章だなぁ。

>「西湖は感動がいっぱいの湖」。

 「西湖最高」っていうキャッチフレーズを毎年見てきて、他のはないのかと、ちょっと思っていました。