養殖で「無公害淡水魚」 中国江蘇省、北京などへ出荷
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(写真:新華社)
(翻訳 劉英/編集翻訳 恩田有紀)
個人の意見
>養殖で「無公害淡水魚」
へえ~、勉強になるなァ~。
船首から水面に伸びた器具にスイッチが入った。水面に電撃が走る。その途端、体長40~70センチほどの魚が一斉にジャンプした。水面から2メートルを超す高さまで跳ぶ魚もいた。
甲板の上に飛び込んでくるものもいる。「気を付けて。顔や胸にぶつかってけがをした人も多いんだ」。網で守られた操縦席から河川生態学者のケビン・アイロンさん(44)の声が飛んできた。
電撃は「人が感電死する可能性もある」ほどだという。一度の放電で、約20匹が捕獲できる。甲板の水槽はすぐにいっぱいになった。
魚はコイ科のシルバーカープ。中国原産の外来種だ。食欲旺盛で成長すれば1メートルを超す。日本でも食用にするため、第2次大戦中に各地の河川に放流されたが、利根川水系と霞ケ浦だけに定着、ハクレンの名がある。
川の上層を群れて泳ぎ、衝撃や爆音などで驚くと跳び上がる。この習性を利用した電気漁は、効率がいいから使っているという。
自然史調査所は、イリノイ川約440キロのうち約130キロを対象に調査を続けている。シルバーカープは、98年段階で採取した魚のうち重量で0.1%以下だった。ところが、08年には全体の半分を超えるまで増加。1マイル(約1.6キロ)当たり約4千匹が生息すると推計されている。
地元漁師も外来種による侵略の被害者だ。
約40年間漁師を続けるゲリー・ベイルさん(69)は「やつらは強いあごで糸の細い網だと食い破ってしまうんだ」と嘆く。在来魚の漁獲が減り、中国原産の外来種ビッグヘッドカープに獲物を変えた。川底近くにいるので網で捕れる。
6月末、半日の漁でボートいっぱいの8千ポンド(約3.6トン)を捕った。1キロ当たり30円ほど、地元料理に使う在来魚よりずっと安い。「脂っぽく骨も多い」と敬遠され、米国内では食材の需要がない。ニューヨークなどに運ばれ、冷凍されて輸出されるか、ペットフードの材料になる。
「数は取れるから稼ぎにはなるが、好きにはなれない。この傷を見なよ」。ベイルさんの目の下に、黒くなったあざがあった。前日の漁で、跳びはねたシルバーカープにやられたという。
米国には70年代以降、「アジア原産のコイ」と呼ばれるシルバーカープやビッグヘッドカープなどコイ科の4種が持ち込まれた。南部の養殖業者が、植物プランクトンをたくさん食べる習性に目をつけ、養殖池の浄化に役立てようとしたのだ。
洪水に乗じて池から逃げ出したのは80年代らしい。気候が故郷に似て餌が豊富、天敵もいないミシシッピ川流域は楽園だった。生息域を北上させ、ミシシッピ川に合流するイリノイ川まで達した。約1千キロの旅だ。シルバーカープなどは今、全米23州で確認されている。
「まだ影響を調べている段階だ」とする調査所のアイロンさん。「数を減らすには、補助金で漁業者が積極的に捕る形にするしかないが、効果が読めない」と語る。