インフルエンザ予防で明治「R-1」品薄


プレジデント 2011年10月17日(月)10時30分配信

イメージ 1

佐賀県・有田町における実証試験でヨーグルトをつくるために使用され、NK細胞を活性化する1073R-1乳酸菌=画像=。

 免疫力が落ちれば風邪をひく。では、免疫力を高く保つにはどうしたらいいか。まずは精神的ストレスを避けることと、朝起きて夜眠る規則正しい生活を送ることだといわれてきた。それに加え、最近は「ヨーグルト(乳酸菌)を食べること」が効果的だという研究成果も明らかになった。現在の免疫学の常識とは?
 斯界の権威である奥村康・順天堂大学医学部特任教授に解説してもらった。


■乳酸菌を食べると免疫力が上がる

――佐賀県・有田町の小中学生約1900人が11年春までの半年間にわたり1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを食べ続けたおかげで、周囲の市町村と比較してインフルエンザの感染率がきわめて低かったという調査結果がまとまりました(実施主体は有田町、有田共立病院、国立循環器病研究センター)。奥村先生はこれをどう評価しますか。

[奥村] 自治体や学校などの公的機関の参加を得て、これほど大規模に調査研究を行ったということに意義があります。ワクチンの評価については過去に例がありますが、外から摂取する食品のようなものが感染症予防にどういう効果を持つかということについては、大規模な研究はありませんでした。国内外を通じて非常に斬新な研究だと思います。

――期間中の小学生のインフルエンザ感染率は、佐賀県(有田町を除く)が4.37%であるのに対し有田町は0.64%、中学生は2.57%に対してわずか0.31%でした。乳酸菌が免疫力を高めたということですね。

[奥村] そうです。実は免疫には「軍隊」に当たるリンパ球と、「警察」に当たるリンパ球の2つの種類があります。軍隊型のリンパ球は、ウイルス感染にきわめて強い抵抗力を発揮しますが、抗原抗体反応を経てから対応するので効果が出るまで時間がかかります。一方の警察型は、ナチュラルキラー(NK)細胞と呼ばれ、ウイルス感染した細胞や癌化した細胞をいち早く見つけて攻撃します。

 私たちの体は毎日1兆個の細胞を新たに生み出していますが、そのうち5000個ほどは不良化、すなわち癌化します。これを成長する前に叩いているのが警察型のNK細胞なのです。NK細胞はつねに血液中をパトロールしていると考えればいいでしょう。リンパ球のうち2~3割を占めているだけですが、人間の免疫力を支えるたいへん大切な存在です。

 ただし、NK細胞はいくつかのきっかけで活力を失うことがあります。加齢と生活リズムの乱れと精神的ストレスです。65歳くらいを過ぎると、この「おまわりさん(NK細胞)」は居眠りをするので、その間にたとえば癌化した細胞が増殖してしまい、目覚めたときには警察では手に負えないくらいの大きさに育ってしまう。加齢とともに癌の発症が増えるというのはこの理由によります。

 また、NK細胞は朝になると活性化し、夜には働きが弱まります。夜おそくまで仕事をしていたり、お酒を飲んだりしていると、高齢者でなくても免疫力が低下します。
 そしてストレスが加わると、高校生くらいの若者でもインフルエンザや風邪にかかりやすくなります。入試や定期試験の前になると風邪をひきやすくなると感じたことはありませんか? それは試験のストレスにより、NK細胞の活性が低下するからです。

 したがって、規則正しい生活をし、ストレスがかからないように心がければ免疫力を高く保つことができます。それに加えて、従来から乳酸菌などを摂取することがNK細胞の活性化には有効だということが知られていました。今回の調査では、そのことが統計的にも裏付けられたということです。


■真面目すぎると長生きできない

――ストレスがかかるとNK細胞の活性が低下する、ということは感覚としてよくわかります。医学的にはどれほどの違いがあるのでしょうか。

[奥村] 「フィンランド症候群」として世界的に話題になった事実があります。北欧フィンランド社会保障制度が充実しているため、個々人の健康管理がおろそかになりやすいといわれています。そこでフィンランド政府は1974年から15年をかけて、次のような大調査を行いました。

 生活環境の似ている40~45歳の男性1200人を半々にわけ、一方は酒やタバコを制限し、生活リズムを保たせ、年に2回の健康診断受診を義務付けました。残る半数は飲酒や喫煙、食事の内容にも制限を設けず、自由に生活してもらったのです。
 その状態を5年続け、10年間の観察期間ののちに集計したところ、驚くべき事実が判明しました。健康的だったはずの前者のグループは600人中67人が死亡したのに、自由放任の後者は46人しか亡くなっていなかったのです。

――徹底的に健康を管理したグループのほうが不健康になった。皮肉な結果ですが、それはなぜですか?

[奥村] 2つの問題点が指摘されました。1つは、健康管理グループではコレステロールの数値を徹底的に管理したことです。当時はコレステロール値は低いほどいいという常識があったからです。もう1つは、あまりに窮屈な暮らしを強いられたために、免疫の働きが弱ったのではないかということです。

 ストレスは伝播します。仔を産んだばかりの動物から仔を取り上げるとストレスから免疫力が下がることが知られていますが、健康な動物の群れに仔を失った個体を一頭交ぜると、他の個体の免疫力も低下します。
 人間にも同様のメカニズムが働くと考えられ、たとえば暗い人生観を持つ人と付き合えば自分の心まで暗くなり免疫力が衰えます。風邪をひきやすくなりますし、癌も発症しやすくなります。ですから、付き合う相手を考えなくてはいけないというのは本当なんです。


■「不良」長寿への7つの習慣とは

――NK細胞の働きが活発な人と、不活発な人。具体的にはどれくらいの違いが出るのですか。

[奥村] 目安をいいますと、日本人が10人いれば2人くらいはNK細胞の活性が低い人です。風邪をひく回数でいえば、年に2~3回以上なら「多い」といえますが、NK細胞の活性が低い人はこれに当たります。10年ほど経過を見れば、この2割の人はNK細胞の働きが活発な人に比べて発癌率も高くなるでしょう。

 では、どうやってNK細胞を活性化させるのか。一番いいのは笑うことです。おかしくなくても、1日1回ワハハと笑う。そうして頭の中を「白く」する。言葉を換えれば、頭の中の切り替えをするということです。そうやって定期的にストレスを開放することが大事なのです。
 その意味では、喫煙で気分転換するのも効果的です。日本人の年間の自殺者3万2000人のうち約2000人の生活習慣を調べたところ、タバコを吸う人はいなかったという調査結果もあります。喫煙の害よりも益のほうが大きいと私は考えています。

 また、NK細胞は食事によっても活性化できます。たとえば乳酸菌や納豆菌、キノコです。食べやすさや活性化効果を考えると、乳酸菌(1073R-1乳酸菌)を多く含むヨーグルトが優れています。

――先生は「『不良』長寿」を提唱されています。生真面目に生きるよりも、少し心に余裕を持って生きたほうが免疫力は上がるということですね。

[奥村] そうです。「『不良』長寿への7つの習慣」といっているのですが、次のようなことを心がけたらいいと思います。
(1)仲間を大事にする、(2)異性にときめく、(3)よく笑う、(4)夜遊びはしない、(5)いつも能天気に構える、(6)食事は何でもほどよく食べる、(7)運動は根を詰めずにちんたらとやる。これですよ(笑)。





奥村 康
1942年生まれ。千葉大学医学部卒、同大学院医学研究科修了。スタンフォード大学医学部留学、東京大学医学部講師を経て、84年より順天堂大学医学部免疫学講座教授。医学博士。2000年順天堂大学医学部長。サプレッサーT細胞の発見者。ベルツ賞、高松宮賞、安田医学奨励賞、ISI引用最高栄誉賞、日本医師会医学賞などを受賞。主な著書に『腸の免疫を上げると健康になる』『免疫のはなし』『免疫』『「不良」長寿のすすめ』など。

面澤淳市=インタビュー・構成



個人の意見

佐賀県・有田町の小中学生約1900人が11年春までの半年間にわたり1073R-1乳酸菌を使用したヨーグルトを食べ続けたおかげで、周囲の市町村と比較してインフルエンザの感染率がきわめて低かったという調査結果がまとまりました(実施主体は有田町、有田共立病院、国立循環器病研究センター)。


明治HD 突如人気化「R-1」TVでの紹介に好反応
NSJ日本証券新聞 1月30日 12:30
イメージ 3

「1073R―1乳酸菌」が一躍脚光を浴びている。R―1乳酸菌は体の免疫機能を高めウイルスの攻撃を未然に防ぐ働きがあるといわれ、この乳酸菌入りヨーグルトを摂取した人は「インフルエンザに感染しにくい」とされる。

この乳酸菌入りヨーグルトとドリンク(メーカー希望小売り価格126円)を手掛ける明治HD(2269)の株価がここ上昇機運。「インフルエンザの流行とともにメディアで取り上げられるようになり、最近、急速に引き合いが強まってきた。一部店舗では品薄状態」(明治HD・IR担当)という。

23日放送のNHKの情報番組「あさイチ」に続き、27日にはフジテレビの情報番組「とくダネ!」でも「R―1乳酸菌入りヨーグルト」が紹介され、知名度が急上昇してきたことが背景。

明治HDといえば、うがい薬「イソジン」「マスク」などを手掛け、かねてインフルエンザ対策関連として知られるが、「R―1」効果で株価のうねりが増してきた。(Q)




 さらに、情報ライブ ミヤネ屋 司会:宮根誠司、川田裕美 読売テレビがお送りする情報番組でもオンエア。
■1月31日(火)
▽緊急取材!インフルエンザ発症率“最低”の町の秘密話題の“乳酸菌”の正体は?