【ライヴレポート】HELLOWEEN、GAMMA RAYが大興奮の高速疾走パフォーマンス


BARKS 6月12日(水)11時54分配信
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HELLOWEENGAMMA RAYメロディック・スピード・メタルの2大巨頭とも言えるこの両バンドが共演する<HELLISH ROCK PART II>が、日本列島を縦断した。もともとHELLOWEENのオリジナルメンバーであり、HELLOWEENサウンドの核を担っていたカイ・ハンセンHELLOWEEN脱退後に結成したのがGAMMA RAYだから、この2つのバンドは兄弟みたいなものだし、もちろんサウンドにも共通点が多い。ある時期は確執もあったようだが今は関係もすっかり修復され、ファン層も共通のこの2バンドで一緒にツアーをしようということで、2008年に開催されたのがこの<HELLISH ROCK>。今回はPART IIとなって2回目の来日を果たした。その初日、6月5日のZEPP東京でのライヴの模様をお伝えしよう。


まずはGAMMA RAYのステージからスタート。GAMMA RAYのライヴではおなじみのイントロ「WELCOME」が流れる中、最新EPの『MASTER OF CONFUSION』のジャケットが描かれた幕が掛かったセットにメンバーが登場し、大歓声に迎えられる。フロント3人のホワイトのギターとベース、それに全員ブラックの上下という装いが、男くさいスパルタンなメタルバンドらしい。そして始まったのが「Anywhere In The Galaxy」。冒頭から豪快な高速疾走ナンバーでぶっ飛ばされたものだから、客席の興奮は一気に沸騰した。オールスタンディングの1階席前方は、満員電車並みの人口密度なのにみんなが身体全体で揺れ出し、早くもモッシュ状態に突入。会場全体からはこぶしが突き上げられ、サビでは大合唱が起こる。

カイ・ハンセンの調子もよさそうで、しゃがれたハイトーン・シャウトが随所に炸裂。表情やVシェイプのギターを弾きながら歌うアクション、ちょっとしたしぐさなど、ロックスター然とした貫録に溢れている。そしてドラムセットのところに飛び乗ったり、ギターのヘニュ・リヒターにも盛んに絡んだりと、忙しく動き回る。ベースのダーク・シュレヒターはじっとしておらず、ぐるぐるとステージ上を歩き回りながらオーディエンスへアピールを繰り返す。とてもエネルギッシュなステージだ。

比較的へヴィなナンバーを2曲挟むと、再び高速ナンバーが登場。「Dethroned Tyrannys」のイントロではひときわ大きな歓声があがった。そしてカイが“新しい曲をやるよ”と言って最新EPの「Master Of Confusion」と「Empire Of The Undead」をプレイすると、客席はさらにヒートアップ。冒頭から大合唱が始まるし、キメでは全員が一斉にこぶしを突き上げたかと思うと、パターンが変わると瞬時に大きな手拍子へと変わる。本当にスゴい一体感だった。

終盤には、カイのHELLOWEEN在籍時の名盤『守護神伝 -第一章-』の「Future World」も披露。これには、カイのヴォーカルで今この曲を聴けるなんて、と感激したファンも多かったはず。そして最後はへヴィな「To The Metal」、「Send Me A Sign」と、最後までパワフルで豪快なパフォーマンスを見せてくれた。

HELLOWEENのステージは、『守護神伝 -第二章-』の「Eagle Fly Free」からスタート。やはり冒頭から高速疾走ナンバーだ。スピーディに突っ走っているが、アンサンブルは重厚だしキメはビシビシ決まり、その上にアンディ・デリスのややヒステリックなハイトーンがよく伸びて通ってくる。この1曲だけでも、円熟したバンドとしてのうまさ、スケールの大きさを感じてしまうほど迫力を感じる。アンディは足元のモニタースピーカーに片足を乗せ、客席に乗り出すようにして力のこもった歌いっぷりで、独特の存在感を放っている。そして両サイドには2人のギタリスト、マイケル・ヴァイカートとサシャ・ゲルストナーがいて、派手なパフォーマンスはそれほどないのだが見た目にも迫力十分。ベースのマーカス・グロスコフはタッピングのソロを披露するなどテクニカルなプレイも見せつける。そしてドラムのダニー・ルブレは、4つもバスドラムがある巨大なセットに埋もれるように座り、鋭く正確でパワフルなビートを刻みながら、ツーバスを絡めた高速フレーズを叩きこんでくる。このドラムがあってこそ、全体が締まって重厚にまとまっているのだ。

セットリストは最新作の『Straight Out of Hell』からの曲が中心だ。エキゾチックなイントロに導かれた「Nabataea」は、展開が絶妙なナンバー。ライヴで聴くとなおさらスリリングで感動的だし、キメの切れ味も抜群だ。明るくポップなメロディの「Straight Out of Hell」ではサビは大合唱になるし、やはり高速疾走チューンの「Burning Sun」はより荘厳で重厚、とてもドラマチックだった。過去に名曲と呼ばれるナンバーをいくつも持っているHELLOWEENだが、新しい曲でも客席はかなりの盛り上がりを見せていた。『Straight Out of Hell』は非常に聴きごたえのあるアルバムだが、実はライブ映えする曲が多かったということに気づかされたし、とても完成度の高い楽曲をどれもほぼ完璧にプレイしたHELLOWEEN、その実力も改めて思い知らされた。

高速チューンも多かったが、後半のHELLOWEENはただ突っ走るだけではなかった。「Live Now!」では、客席を左右半分ずつに分け、別々のパートをかけ合いで歌わせ、どちらが声が大きいか競わせるという、国内アーティストでよく見かけるようなフレンドリーなコール&レスポンスもあった。また、サシャがスタンドに据え付けられたアコースティック・ギターを爪弾いて始まった切ないバラードの「Hold Me In Your Arms」とへヴィな「If I Could Fly」を続けて、じっくり聴かせる場面も作っていた。そして最後は、「Hell Was Made In Heaven」、そして「Power」と、HELLOWEENらしく爽快な疾走感あふれるナンバーで再び加速。重い曲が続いた後だけに、客席の盛り上がりもここで一気に爆発したようで、それまで比較的落ち着いて聴いていた後方のオーディエンスもジャンプを繰り返していた。


本編の興奮度も相当なものだったが、この日一番の盛り上がりを見せたのが2回目のアンコールだ。オーディエンスの期待のとおり、カイ・ハンセンHELLOWEENの共演が果たされたのだ。HELLISH ROCKに来たからにはこれを見なければ帰れないというくらい、みんなが期待していたこの日の目玉がこの共演だろう。この編成で披露したのは、「Halloween」、「How Many Tears」、そして「Heavy Metal(Is The Law)」と続くHELLOWEENの名曲メドレー。カイのヴォーカルでこれらの曲を聴けるのも感激だし、カイとヴァイキーが並んでギターを弾いている姿は、やはり感慨深いものがある。思わず涙腺を刺激されてしまったファンも多かったはずだ。さらに最後の「I Want Out」ではGAMMA RAYのヘニュとダークも参加。ステージ最前列に7人が並ぶという壮観のパフォーマンスで、HELLISH ROCK PARTIIは幕を閉じた。

撮影●Yoshika Horita

HELLISH ROCK PART II セットリスト
6月5日@ZEPP東京

GAMMA RAY
1. Welcome
2. Anywhere In The Galaxy
3. Men, Martians and Machines
4. The Spirit
5. Dethroned Tyranny
6. Master Of Confusion
7. Empire Of The Undead
8. Empathy
9. Rise
10. Future World
11. To the Metal
12. Send Me A Sign

HELLOWEEN
1. Eagle Fly Free
2. Nabataea
3. Straight Out Of Hell
4. Where The Sinners Go
5. Waiting For The Thunder
6. Burning Sun
7. Drum Solo
8. I'm Alive
9. Live Now!
10. Hold Me In Your Arms
11. If I Could Fly
12. Hell Was Made In Heaven
13. Power
アンコール1
14. Are You Metal?
15. Dr. Stein
アンコール2
16. Medley: Halloween~How Many Tears~Heavy Metal(Is The Law)
17. I Want Out


個人の意見

 カボチャ・ファッションの群衆に「何があるの」と聞いていた人がいたそうな。
ジャーマンですよ、ジャーマンメタル、アーライッ!