アングラー(釣り人)的IT活用術 第2回


マイナビニュース 9月13日(金)11時0分配信


連載二回目となる今回は前回の続きをお届けしよう。釣り師にあるまじき寝坊した休日に大型の鯉を釣ろうなどと無謀なようにも見えるが、わたしにはちょっとした自信があるのだ。IT的思考と効果的にデバイスを駆使することによって、釣りだって効率を上げることができる。では、実釣編をご覧頂きたい


○いよいよ実釣開始

話しを元に戻そう。ロッドポッドには3~4本の竿がセットできるが、これはもうケースバイケース。今回のようなちょい釣りしてみよう的な場合は、1、2本が適当だ。道具はすぐに用意できるので、気になったらもう1本追加するぐらいの気持ちでよい。

道具の準備ができたら、いよいよ仕掛けを投入する。その日の状況と過去データから、この日は割と岸際で食ってくると想定、同様にヒットしてくるであろうボイリーもある程度予想はできている。

なぜ、そんなことが予想できるのか・・・ 簡単にいえば、かつては経験則によってのみ考えていた「勘」の部分を、蓄積したデータから推測しているのである。これにも実はノウハウがあるのだが、長くなるのでここでは割愛させていただこう。

そんなこんなで準備はできた。と、その前に撒きエサをしておこう。鯉という魚はある程度の生活パターンがある。エサを求めるときは、一定のコースを辿るのだ。今回はそのコースで待ち伏せる作戦なので、鯉が通ったら足止めをしておく必要があるのだ。とはいえ、大量の撒きエサをしてしまうと、他の魚や亀などの水生動物たちも集まってしまうので、この場合は少量でいい。数粒のボイリーを投入地点に投げてから、そっと仕掛けを下ろす。あとはロッドポッドに竿をセットしてバイトアラームがけたたましく鳴るまで一休みだ。

この休んでいる状況だけを見ると、俗に言う「釣り人ってのんびりしている」というイメージなのも当然だろう。しかし、割と休息時間が長く取れるカープフィッシングでも、そうしている間に思考は続いている。ボイリーの種類は合っているか? このキャストでノーヒットなら、もう少し深い場所に投入したほうがいいか? その場合、撒きエサはどうするか?・・・ うんぬんかんぬん、思考が止まることは無い。

完全に思考を止めて本当に休息するとすれば、「必ず釣れる」ことが分かっているときぐらいだろう。そう言い切れる瞬間は少ないが、そうなるとほぼその日の釣りはこちらが主導権を取れる。もちろん、そんな日は稀なのだが・・・

○狙いの獲物は釣れるのか?

さて、このポイントは実は亀が多く生息しており、彼らの回遊コースと交わってしまうと、ボイリーはたちまち食べ尽くされてしまう。それを避ける意味もあって、30分ぐらいで定期的に仕掛けを回収してチェックするのだが、この日もそれを繰り返すこと3回目になっていた。

状況からそろそろ最初のバイト(アタリ)は欲しいところだが、鯉の回遊もいまのところは発見できずにいる。投入地点を変えるか? ボイリーの種類を変えるか? もろもろ考えてみたが、この日のパターンにはいささか確信があったので、そのまま続行することにした。

すると、その4投目・・・

「pipipipipipipipipipi!」。ロッドポッドから30mぐらい離れた位置で待機していたわたしの横でバイトアラームのレシーバーがけたたましく鳴った。

ちなみに、レシーバーには3つのバイトアラームのどれが鳴ったか分かるような機構がついており、ここでは左側の竿に反応があったことを知らせている。

ロッドポッドに駆け寄ると左のロッドから勢いよくラインが出ている。竿を掴んでスプールフリー機構をオフにすると、ずっしりとした生命感が伝わる。ドラッグを唸らせる猛烈な引きに絶えること数分、姿をみせた鯉は丸太のような巨体の80cmクラスだ。

すでに準備していたネットで丁寧に掬い、勝負はわたしの勝ちとなった。計量すると82cmの鯉だ。このクラスになると手応えも十分で満足感も高い。鯉のダメージを最小限にしたいので、急いで水に戻す。しばし動きを止めていた鯉は、水に戻されたことを悟ったのか、ゆらりとゆらめくように身を動かす。元気よくひとはたきして、鯉は深みへと姿を消した。

その後、70cmクラスを追加したところで夕刻を向かえた。もう少し粘れば、あと1匹は追加できそうだったが、今日はこれで大満足である。そそくさと、道具を回収して車に積み込み、帰路へとついた。

自宅から20分の釣り場で80cmクラスの大物が狙える。最大でいうと1mクラスまで論理的には可能だ。ちょっとした道具と論理的な思考を持つだけで、それは夢ではなく現実のものとすることができる。もちろん、自然相手の遊びなので、すべてが理想通りにいくわけではないが、IT的な思考と先端のデバイスを駆使すれば、確実な釣果を挙げる確率を高めることは十分可能なのだ。次回からはより詳しく、釣りとITの関係の面白さを伝えていきたいと思う。

(エースラッシュ)