酒造好適米「山形酒104号」


河北新報 2月7日(土)13時15分配信

  山形県大吟醸酒用の酒造好適米「山形酒104号」を開発し、2016年度の一般作付けに向け、実証栽培や試験醸造に取り組んでいる。酒米の最高峰「山田錦」を超える高品質が目標。好適米の県外依存を減らし、「100%山形産」を売りに県産酒のブランド価値を高める。研究開発は既に最終段階で、担当者は「手応えは十分」と自信を見せる。(山形総局・長谷美龍蔵)

 

 <精米歩合35%>

  山形酒104号は山形県の「出羽の里」と宮城県の「蔵の華」を掛け合わせた新品種。大粒の割に中心部の心白が小さく、深く削っても割れない。タンパク質が少なく、雑味のない、すっきりした日本酒が出来上がる。

  県工業技術センターが10年度、研究開発に着手。4年間、試験栽培と試験醸造を繰り返し、14年度は県内4カ所で実証栽培を始めた。現在、県内の酒造会社4社に醸造を依頼している。

  センターによると、研究の結果、精米歩合35%まで削ることができた。山田錦と同等で大吟醸酒に向くと分かった。試験醸造酒を試飲した消費者の評価も、山田錦を使った大吟醸酒と拮抗(きっこう)したという。

  工藤晋平主任専門研究員は「山田錦と遜色ない高品質との評価が固まりつつある。全国トップブランドの酒造好適米に成長する素質は十分にある」と期待を寄せる。

  県内の酒造会社が使用する好適米は年間約3350トンに上り、このうち山田錦が約720トン(21.5%)を占める。

  県産の好適米は純米吟醸酒吟醸酒向けの「出羽燦々(さんさん)」が1995年にデビュー。05年に品種登録された純米酒向けの「出羽の里」とともにシェアを広げるが、大吟醸酒用の県産品種は無かった。

 

 <脱「山田錦」へ>

  山田錦は収穫期が10月中旬と遅く、県内の栽培は難しい。兵庫県などから購入する酒造会社が多いが、センターによると、高温障害や台風による倒伏で品質が不安定な面があり、取り寄せるコストも小さくないという。

  新品種導入は「脱山田錦」が狙い。県は3月末までに農林水産省へ品種登録を出願する予定で、16年度の一般作付け開始後は当面、山田錦の県内シェアに匹敵する100ヘクタール程度の生産を目指す。将来は面積を増やし、県外への販売も見据える。

  山田錦をしのぐ高級酒向けの好適米開発は全国各地で進む。東北では青森県の「華想(おも)い」、岩手県の「結の香(ゆいのか)」、秋田県の「秋田酒こまち」などが誕生している。

  工藤研究員は「他県産酒と差別化を図り、山形の地酒の付加価値を高めるには、山田錦に代わる県産好適米がどうしても必要だ」と話した。

個人の意見

秋田県の「秋田酒こまち」

 千葉県の「仁勇」で数年前に知った。