釣り具創作から、指紋検出まで! ロングセラー「アロンアルフア」の意外な話


3/9(土) 11:27配信


 さまざまな趣味と娯楽の奥深い世界をご紹介するTOKYO FMの番組「ピートのふしぎなガレージ」。3月2日(土)放送のテーマは「接着剤」。突然ですが、接着剤というと何を思い浮かべますか? 家庭や学校で使う糊や市販の木工用や金属用の接着剤、医療や工業で使われる接着剤など、世の中ではいろいろな接着剤が使われています。中には意外と思われるものにも……! 今回は「接着剤」について、TOKYO FMの番組の中で詳しい方に教えていただきました。

◆「アロンアルフアにはさまざまな使い道があります」
東亞合成株式会社 柴田加奈子さん

── 瞬間接着剤といえばアロンアルフアです。

アロンアルフアは、シアノアクリレートという成分が水と反応して固まる性質を利用して、接着剤として使用できるのではないかという研究をしたのが誕生のきっかけでした。一般向けに発売されたのは1971年です。

その前は主に工業向けに作っていたのですが、利用していた業者の方に釣りが好きな方がいて、「この接着剤は釣りの仕掛けを作るのにすごくいい」と言われ、一般向けにも発売することになったんです。そんな経緯なので、今もアロンアルフアの中に「釣名人」という製品があります。

── アロンアルフアは、どれくらいの接着力があるんですか?

アロンアルフアを使って500円玉の面積で接着した場合、約1トンの重さを持ち上げることができるくらいの強度があります。500円玉の面積といっても、垂らすのはわずか3滴ほど。この強度は工業向けの製品でも一般向けの製品でも変わりません。

用途としては、工業向けでしたら金属同士やゴムの接着です。主に機械の部品などを接着するのに使われています。一般向けの製品でしたら、たとえば革を接着できる製品を使えば靴の修理にも使えます。

現在、一般向けの製品は24種類あります。製品による違いは粘度や用途で、サラサラだったり、垂れにくいドロドロした製品だったり、垂直な壁に塗っても垂れないゼリー状の製品もあります。それから、使用する素材、木やプラスチックなどの違いによって、いろんな種類の製品を発売しています。

── アロンアルフアの変わった使い方ってありますか?

ちょっと意外なところで指紋の検出にも使われています。指紋の付いたところにスプレーでアロンアルフアを吹きかけると、指紋が浮かび上がってくるんです。この使い方は警察で実際に行われています。

また、アロンアルフアは医療にも使われています。手術のときに皮膚や血管、臓器を接着するのにアロンアルフアを使うんです。成分的には一般向けの製品と変わらず、製造方法が区別されているだけです。実は医療用のアロンアルフアは一般向け製品よりも歴史が古くて、1965年からありました。シアノアクリレートは硬化物をパウダー状にすると抗菌剤になるくらいなので、医療の現場で使われてきたんです。


TOKYO FM「ピートのふしぎなガレージ」2019年3月2日(土)放送より)

個人の意見
 修理にはアロン。