庭池で幸運重なり絶滅回避 ウシモツゴ命つなぐ


5/3(金) 7:56配信

岐阜新聞Web


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 岐阜市レッドリストで野生絶滅に分類される東海地方固有の淡水魚「ウシモツゴ」が、同市内の民家の池でひっそりと命をつないでいる。現在は美濃地方を中心に3県の約10カ所でしか確認されていない希少魚。令和へと移った次代に残すため、世界淡水魚園水族館アクア・トトぎふ(各務原市)が先月保護し、繁殖に乗り出した。

 ウシモツゴは水田の水路の改変や外来魚の密放流によって姿を消した。2010年に関市などで開かれた全国豊かな海づくり大会では、上皇后美智子さまからお預かりして放流するなど、県内の希少淡水魚の象徴とされている。

 民家の池で確認されたのは、07~08年ごろ。池は昭和初期に掘られており、周辺で取ったフナを放した際に交ざっていたか、大水で用水から入り込んだことが考えられるという。先月中旬の調査では、計58匹が採取された。「昨年の猛暑で池の渇水を心配していたが、たくさんいて一安心」と向井貴彦岐阜大地域科学部准教授(保全生態学)。

 この池で生き残っていた理由としては、冷たい谷水が流れ込む良好な水環境や、観賞魚の残り餌を得られた生育条件、私有地のため外来魚から免れた閉鎖性などが考えられるという。住民の男性(69)は、「前から姿は見ていたが、雑魚と思っていた。無事に育ってほしい」と繁殖に期待する。

 ウシモツゴの学術的な最初の報告例は1893(明治26)年で、後に名和昆虫博物館を開いた故名和靖氏が地方名の「う志もろこ」の名前で岐阜市近傍産の標本を東京帝国大学に送ったのが最初とされる。向井准教授は「最初の報告例に近い場所で残っていたのは、ウシモツゴの歴史を知る上でも面白い」と指摘した。

 アクア・トトの池谷幸樹館長(48)は、「絶滅しそうな弱さを持つ一方で、繁殖期には真っ黒で大きな姿に変化するギャップが面白い魚。こうした身近な魚にもっと目を向けてほしい」と話す。現在は館内で関市産を展示しており、3年後をめどに岐阜市産の披露を目指すという。



 【ウシモツゴ】 コイ科の淡水魚で、東海3県の固有種。体長8センチ。かつて濃尾平野の水路に分布していたが、戦後の農地整備や水路改良などで生息地が激減した。環境省レッドリストは絶滅の恐れが極めて高い「絶滅危惧ⅠA類」、県のレッドリストも「絶滅危惧Ⅰ類」に分類しており、3県とも県条例で保護している。


個人の意見

 最近、モツゴの扱いがよくなっている。