出生率 07年は1.34と2年連続増

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6月4日20時50分配信 毎日新聞

 07年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数に相当)は、06年を0.02ポイント上回り、1.34となったことが、厚生労働省が4日まとめた人口動態統計で明らかになった。同出生率は06年に6年ぶりで上昇し、2年連続増えた。ただ、人口減で出産適齢期の女性の数そのものが減っており、出生数は2929人減の108万9745人。史上最低だった05年(106万2530人)に次いで少なく、今後も上昇に転じる見通しはない。


 07年の出生数は、6年ぶりに増加した前年から再び減少したが、死亡数は2万3830人増の110万8280人となり、戦後混乱期の47年以来60年ぶりで110万人台に達した。この結果、出生数と死亡数の差である「人口の自然増数」はマイナス1万8535人と、再び人口減となった。

 厚労省は、合計特殊出生率の上昇原因について、20代後半で横ばいが続き、30~49歳層ではいずれの年代もアップしたほか、3人目を産んだ人が6821人増の16万6383人となったことを挙げる。晩婚化が進み、雇用が改善したことが背景にあるとみている。

 ただし、今後も現在の出生数を維持するには、同出生率を1.7程度に引き上げる必要がある。景気が陰りを見せる中、合計特殊出生率の上昇傾向が定着するかは不透明だ。

 このほか、結婚件数は前年より1万1170件減の71万9801件。離婚は2653件減の25万4822件で、03年から5年連続で減った。07年度に厚生年金の離婚時分割が始まり、離婚数が増えるとの観測もあったが、影響は見られなかった。【吉田啓志】

 ◇止まらぬ「長期低落」

 07年の合計特殊出生率は、2年連続アップし1.34となった。しかし、出生数の長期低落傾向には歯止めがかかっていない。

 政府は94年の「エンゼルプラン」を皮切りに、何度も少子化対策をまとめてきたが、メニューは毎度、(1)子育ての経済的負担の解消(2)保育や育児休業の拡充(3)労働時間短縮やパートの均等待遇など働き方の見直し--で、新味に乏しい。既に対策は出尽くしている。今やいかに予算を大幅に増やし、国民の意識をどう変えていくかという段階に来ている。

 05年度、60歳以上に配分された社会保障給付費は、前年度比1.7%増の61兆7079億円。全体の70.2%を占める。一方、少子化対策は3兆5637億円と全体の4.1%で、前年度と同水準にとどまる。少子化関連費が10%弱の英、仏との差は大きい。

 政府は「日本の給付は高齢世代に偏っている」との批判を受け、再三配分の見直しを口にしてきた。ところが、後期高齢者医療制度の修正でも、政府・与党あげて高齢者の負担軽減に走り、現役世代にツケを回そうとしているのが実情だ。

 政府の「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」は昨年末、保育サービス充実などに1.5兆~2.4兆円の追加支出が必要との提言をまとめ、暗に消費税1%の増税が必要とにおわせた。後継の社会保障国民会議も、同じ路線だ。

 ただ、所得が低いほど負担が重い消費税増税は若年層への影響が大きく、「子育て支援に向かない財源」との指摘も多い。社会保障費の、世代間の配分見直しは必至だ。

 政府が出生数を増やすうえで頼みの綱とする団塊ジュニア世代の女性も、30代後半にさしかかった。対策は時間との勝負でもある。【吉田啓志】