第3のビール、発泡酒超え 5月出荷量 低価格志向鮮明


6月12日8時0分配信 産経新聞

 ビール大手5社が11日に発表した5月のビール類の課税出荷数量で、酒類別では最も価格の安い第3のビールが16・3%増の984万ケース(1ケース=大瓶20本入り)となり、発泡酒をわずかながら上回った。発泡酒を上回るのは第3のビール増税前に駆け込み需要が発生した平成18年4月以来2回目。駆け込み需要という特殊要因を除くと、第3のビール発泡酒を上回るのは初めて。食品やガソリンの値上げが相次ぐ中、消費者の低価格志向が強まっていることがうかがえる。

 5月の課税出荷数量を酒類別にみると、ビールが前年同月比5・5%減の2056万ケース、発泡酒が9・1%減の976万ケースで、第3のビールが唯一気を吐いた格好だ。

 第3のビールの牽引(けんいん)役となっているのが発泡酒にアルコール度数の高い蒸留酒、スピリッツを加えた商品。原料に麦芽を使うため、ビールに近いコクや飲みごたえが出る。18年11月時点では、麦芽を使わない商品が第3のビールの約8割を占めていたが、この5月には麦芽を使った商品が44・4%にまで上昇。麦芽を使った第3のビールを成長市場と見た各社は需要期を前に攻勢をかけている。

 サッポロビールは今月4日に新商品「麦とホップ」を発売し市場に参入。サントリーは「金麦」を5月27日にリニューアルした。アサヒビールは「クリアアサヒ」の年間販売目標の3分の1を約2カ月間で売り上げ、増産体制に入っている。一方、キリンビール麦芽を使わない「のどごし〈生〉」で勝負をかける。