100円「PB第3のビール」の軍配はどちらに?

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nikkei TRENDYnet7月30日(木) 10時46分配信 / 経済 - 産業

 ビール、発泡酒に続く新ジャンル、いわゆる「第3のビール」の競争が激化している。そんななか、流通大手のセブン&アイ・ホールディングスとイオンのプライベートブランド(PB)の第3のビールが、7月24日、そろって発売された。

 イオンの「トップバリュ 麦の薫り」は350ml缶で100円。対するセブン&アイ・ホールディングスの「THE BREW ノドごしスッキリ」は同123円だが、6缶パックをお試し価格600円で販売することを考えると、実質は1缶100円。ビールメーカーの商品に比べると2~3割安い価格設定となっている。

 さらに、ダイエーも自社開発の「バーゲンブロー ノイヴェルト」(350ml缶89円)を、7月17日~8月2日の17日間限定で79円の割引価格で販売するなど、第3のビールの低価格競争はさらに激化しそうな気配だ。


 セブン&アイ・ホールディングスとイオンのPB商品を製造しているのは、どちらもサントリーサントリーでもナショナルブランド(NB)の新ジャンル「金麦」「ジョッキ生」「スーパーブルー」「ザ・ストレート」を発売している。それよりも低価格の商品を提供することは、自社のNB商品が売れなくなることにつながるように思えるのだが、どうなのか。

 サントリー広報部によると「PBという認識はなく、共同開発したダブルブランドと位置づけています」とのこと。確かにPBであることが強調されて注目を集めているが、商品をよく見ると、サントリーのロゴがしっかり入っている。

 サントリーは昨年、イオングループ限定で「サントリー スーパーブルー<ダイナミック>」を数量限定発売するなど、以前からイオンと協働で限定ビールや第3のビールを開発・発売してきた。今回の「トップバリュ 麦の薫り」もそうした協働の延長として開発したものだという。共同開発によるダブルブランドであるという点では、セブン&アイ・ホールディングスの「THE BREW ノドごしスッキリ」も同様だ。

 ちなみに、「ハーゲンブロー ノイヴェルト」は、ダイエーがベルギー・インターブリュー社の技術協力を得て、同社グループの韓国・オリエンタルブリュワリー社に製造委託したPB商品になる。

共同開発で新たな需要発掘を目指す

  「トップバリュ 麦の薫り」と「THE BREW ノドごしスッキリ」は小売価格が違うため製造工程に違いがあるのか気になるところだが、詳細については公表していない。

 それでは味はどうなのか。他社との共同開発商品のほうが自社商品よりおいしいと、自らの首を絞めることにはならないのか。

「嗜好品ですので、どちらが美味しいかは一概には言えません。自社のNB商品とは味わいなども違いますし、自社のNB商品への影響は少ないと考えています」(サントリー広報部)。また、共同開発には、近年のビール類における消費者の嗜好の多様化により、自社のNB商品ではカバーできない需要を発掘したいというサントリーの狙いもある。

独断で「第3のビール」飲み比べ

 7月24日にPBの第3のビールが発売されるのを待ち、セブン&アイ・ホールディングスの「THE BREW ノドごしスッキリ」、イオンの「トップバリュ 麦の薫り」、サントリーの「金麦」、そして、ダイエーの「バーゲンブロー ノイヴェルト」を飲み比べてみた。

 「金麦」はほどよい苦みがあり、4種類の中では最もビールに近く感じた。「トップバリュ 麦の薫り」はコクがあり、「金麦」に近い味わいだ。「THE BREW ノドごしスッキリ」はその名の通りすっきり爽やかなのどごしで、バドワイザーなどのすっきりした米国のビールが好きな人に合いそう。サントリーがイオン、セブン&アイ・ホールディングス各社と開発した格安のPBビールは、けっこう対照的な味だとわかった。

  「バーゲンブロー ノイヴェルト」は喉ごしは爽やかだが、強い香りがあり、人によっては好みが分かれそうだ。試飲した4銘柄の中で一つ、おいしかった銘柄を選ぶなら、私はサントリーの「金麦」だ。

 なお、この感想はあくまでも記者個人の好みと独断によるもの。どれが美味しいと感じるか、嗜好は人それぞれ。実際のところはどうなのか、疑問に思う方は、ぜひお試しを。

(文/油科真弓)

個人の意見

 新しいことを最初にやるのは、いつもサントリーですね。