焼酎などで害虫防除


10月4日16時1分配信 毎日新聞

 ◇人と環境に優しい園へ
 鹿屋市の市営霧島ケ丘公園にある「かのやばら園」は、8ヘクタールの敷地に4000種5万株が咲く国内屈指の規模を誇る。園はハードの充実と共に「人と環境に優しい園づくり」を目指す。その実践例が、焼酎など天然素材を使った害虫防除だ。【新開良一】
 「時代劇で侍が傷口にプッと酒を吹き付けるでしょ。あれがヒントですよ。鹿児島だったら焼酎でしょ」
 天然素材を使った防虫剤を発案したのは門倉美博(よしひろ)園長(61)。93年の開園以来、バラ栽培一筋に歩んできた「バラ博士」だ。
 バラは病気や害虫に弱い。特に、ハダニなどの害虫が発生する4月から11月まで農薬散布が不可欠。毎月4回は必要で、年間500万円の農薬代がかかっていたという。
 門倉園長は「農薬の効果は確実。だが、環境と人に優しい天然素材の防虫剤を作れないか」との思いを募らせていた。「将来のコスト削減にもつながるのでは」
 06年、園の新装オープンを契機に試行錯誤が始まった。だが、焼酎だけでは効果が表れず、一部にウドンコ病などが出た。殺菌・抗菌効果のある米酢やクエン酸を混ぜた。すると、虫が激減、農薬と同じような効果が得られた。さらに納豆菌を追加、病気にも強くなったという。
 今では月4回の散布のうち3回、この防虫剤を散布。病害虫防除コストは変わらないが、農薬代は年200万円を下回ったという。
 「この防虫剤は殺虫ではなく、虫が寄ってこないようにするためのもの。そのせいでしょうか、かけ始めてから花が生き生きとしてきた。科学的データがあるわけではないんですが」と笑う。
 今、ハウス内の切り花用と合わせると6万株を栽培。すべてに散布する薬剤は、この防虫剤と農薬を合わせても1回1500リットルですむという。「土にぽたぽたと落とさないように霧の状態で散布するのがコツ。株数換算では、全国一少ない散布量じゃないか」と胸を張る。
 門倉園長の最終目標は「農薬ゼロのバラ栽培」。防虫剤の新たな開発と共に、野菜の青汁やビワの葉、黒砂糖などを混ぜたバラの栄養剤も作りたいと意気込む。「要するに人間にいいものをバラにも与えるんですよ」
 園は今、秋の「ばら祭り」に向けた手入れの真っ最中。せん定が終わり、新芽が出そろった。秋バラの開花は10月中旬。甘い香りを放つ大輪のバラの競演は近い。

10月4日朝刊














個人の意見

 焼酎漬けにして保存したり、薬としての利用は昔からされていたようですね。
マムシの焼酎漬けとか、見た目は標本ですよ。