ファンション「ヘビーメタル系ロックを思わせるストリート感」

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12月8日15時39分配信 産経新聞


 飛び出す絵本のようにスタイルが湧(わ)き出した。2010年春夏東京コレクション(10月19~24日)では解き放たれたクリエーションが装いのミックスシティ・東京らしいざわめきを生んだ。織部焼、おたく、ロックなど、思い思いのインスピレーションソースから紡ぎ上げられた東京モードは、世界モードと共鳴しながらも、別の進化ロードを歩む。(ファッションジャーナリスト・宮田理江)

 「慶長の美」をテーマに据える「マトフ」は織部焼のたわみやゆがみをフォルムに転写した。着物風のジャケットコート「長着」にも焼き物由来の青や緑のパステルトーンを持ち込み、華やぎをまとわせた。普段使いしやすいデザインに落とし込まれて、「マトフ」はさらにファンを増やしそうだ。

 フロントで深く打ち合わせる着物風の羽織物に、洋服風の襟を付けたアイテムは世界のどこにもない和洋折衷。和服と現代ウエアを溶け合わせる手つきの確かさは世界に飛び出していくべき水準に達しつつある。

 白で押したのが、東京のトレンドセッター「ジーヴィージーヴィー」。世界の最新トレンドであるシースルー、部分肌魅せなどを取り入れ、清潔な色気を漂わせた。ランジェリーの外出し、スポーティーなサイクリングパンツといったネクストモードも先取りして見せた。

 「おたく」と自ら認めるデザイナーが率いる「モトナリ・オノ」はガーターベルト、コルセットなどのランジェリーを主役に迎えた。漫画やアニメの表現に通じる演出で、嫌らしくなく、ロマンチックなセクシーに味付け。黒いレースやチュールを重ねて、毒っ気のあるゴシックシースルーに仕上げている。甘くないフェミニンのさじ加減は確かだ。

 「ミキオ・サカベ」はヘビーメタル系ロックを思わせるビッグ柄Tシャツや、わざと何カ所も破いたストッキングで、ストリート感を押し出した。あえてドレッシーなハイヒールで合わせるちぐはぐコーデが面白い。全体にブラックを多用して、色使いも世界観もダークに染め上げた。

 新鋭らしからぬ手仕事が持ち味の「アグリ・サギモリ」。黒のテーラードジャケットはシャープでミニマルなシルエットだが、女性の体形になじむ精緻(せいち)なテーラーリングが冴(さ)える。フロントの打ち合わせを左右に崩して、動きを出す技も披露。鹿革に箔(はく)を乗せて洗いをかけたレザーの風合いには、日本の工場が培ってきた加工技術が注ぎ込まれている。

 「ソマルタ」は旅に出る女性のイメージを膨らませた。トレンチコートを変形させたようなジャケットに、ハーフ丈パンツを合わせるような行動するスタイルを提案。ブラウン系のアースカラーはドレープの光沢や、素材ミックスの工夫を際立たせる。巨大なヘッドアクセサリーも世界的な流行をしっかり反映していた。

 全体に新進・中堅が元気な東コレらしく、着想がそのままランウェイからあふれ出している。きちんとしたものづくりに励みながらも、ひねったり、ずらしたりという、消費者をそそのかす挑発が小気味よい。創(つく)り手と消費者の距離感が世界4大コレクションよりも近い東コレには、リアルモードならではの親近感とエネルギーが味方している。デザイナーの数だけテイストが存在する東コレ。自分流のミックスをここから始めるのも楽しいに違いない。

個人の意見

> ヘビーメタル系ロックを思わせる

 失敗するとこの小木博明氏が演じている人状態なってしまう。