「酒サムライ」
週プレNEWS 11月17日(木)11時54分配信
長く低迷を続ける日本酒業界。日本酒の生産量は、この30年で約3分の1に、酒蔵の数は約半数に減っている。
長く低迷を続ける日本酒業界。日本酒の生産量は、この30年で約3分の1に、酒蔵の数は約半数に減っている。
この危機を打破せんと、全国の若手蔵元組織が立ち上がった。「酒サムライ」。日本酒の誇りを取り戻し、日本酒文化を国内外問わず伝えていくために、05年にスタートした日本酒復権プロジェクトだ。
同プロジェクトを管轄する「日本酒造組合中央会」の塚田孝氏が語る。
「日本酒に深く携わっている方、また各界で影響力のある方などに『酒サムライ』なる称号を叙任(じょにん)し、日本酒や日本の食文化を広める活動をしていただくというのが目的です。国内の状況とは逆に、海外では和食ブームとともに日本酒を嗜む人が増えている。世界に“SAKE”を広めていくチャンスなんです」
現在の叙任者は34名。有名日本料理店の総料理長やニューヨークの高級フレンチのマスターソムリエなど顔ぶれはバラエティ豊かだ。
「07年以降、毎年ロンドンで開催される世界的なワイン品評会『IWC』にも日本酒部門を設けていただき、今年も450銘柄以上、出品しています。世界のワイン関係者が注目する場で、日本酒をPRできるのは非常に意味がある。当然、海外の日本大使館や和食屋さんで『日本酒を愉しむ会』を催すなど地道なPR活動も行なっています」(塚田氏)
この10年で日本酒の輸出量はほぼ倍増。特に韓国へは約40倍にも膨れ上がっている。輸出先も北米、アジア、欧州と多方面にわたる。
「米西海岸などでは現地で日本酒造りも行なわれています。また、海外のイベントで“GINJO”“DAI-GINJO”という言葉を普通に使う外国の方も出始めた。以前は“SAKE”で一緒くたにされていたんです。正直、驚きましたけど、うれしかったです(笑)」(塚田氏)
世界に広がる日本酒。そして日本国内での復権を目指して……。サムライの挑戦は始まったばかりだ。
(取材・文/木場隆仁)
個人の意見
和文化を守る者は、みなサムライですね。