水抜き”準備不足? TVロケ参加者「在来魚が大量死」


3/19(月) 8:30配信

岐阜新聞Web


岐阜大准教授 「生息状況十分に把握を」

 人気のテレビ番組「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」が撮影された岐阜県羽島郡笠松町木曽川河畔のトンボ池で、目的の外来魚駆除の際、主催者側の対応が十分でなく、在来魚が大量死したとの参加者の声がインターネット上で話題になっている。池干しは全国各地で行われているが、専門家は「在来生物が多く生息する池では駆除と保護を同時に行うのは難しい。事前に専門家に相談すべき」と指摘する。
 「池の水-」は、池干しをして水質改善や外来種駆除を図る番組。今回の撮影は2月18日に行われた。同池でトンボの保護活動を続ける「トンボ池を守る会」(笠松町)が番組に応募した。会員のほか、大学生や農林高校生のボランティア、一般参加者ら千人以上が県内外から集まった。
 今月11日に放映された番組では、参加者が網などでライギョなどの外来生物を捕獲し、ヤゴのほか、県が準絶滅危惧種に指定する在来魚のイトモロコなどを保護したと伝えた。
生物保管の容器足りず

 一方、大勢の参加者が踏み荒らしたことで池の中が酸欠となり在来種を含む小魚の死体が浮いている状況だったと、複数の参加者がツイッターに投稿。参加者に指示を出す専門家が少なく、捕獲した生物を保管する容器も足りていなかったとの不満が書き込まれた。
 主催者である守る会の可児幸彦会長(72)は「今回は、ヤゴを食べる外来魚の駆除が目的。守る会では調査できなかった生物の生息状況が分かった」と意義を語る。ただ、想定の倍近くになった参加者数に戸惑い、「池への立ち入り制限はしていなかった。全てに目を配るのは無理だった」と話す。
 守る会は昨年12月に番組に応募し、今年1月に管理者の国土交通省から許可を得た。制作会社のスタッフとは2度現地確認をしたが、専門家は不在だった。今回、番組側が専門家や水を抜く業者を手配し、守る会は参加者の募集を担った。本紙の取材に対し、テレビ東京広報部は「さまざまな意見が出ていることは承知している。皆さまの声に真摯(しんし)に向き合い、専門家の話も引き続きうかがいながら、今後の番組制作に生かしたい」とコメントしている。

都市部とは異なる状況

 岐阜大地域科学部の向井貴彦准教授(保全生態学)は「トンボ池は木曽川流入するワンド(入り江)で、在来種が豊富に生息するなど自然度が高い。これまで番組で扱った、外来魚ばかりの都市部のため池とは状況が違う」と指摘する。
 番組第1弾は一昨年秋に高山市の美女ケ池で撮影され、外来魚のソウギョを駆除した。池を管理する地元の主催者が主導し、ボランティアら約150人が1カ所に集まり作業。向井准教授も相談を受けて事前に在来魚の生息状況を調べ、当日も指導に訪れた。「生息状況を把握し、在来魚を生かす準備を十分に行うべき。参加者が不要な殺生をしないための配慮も大切」と話す。
 今回の問題は、生物の保護活動と生態系の保全の在り方を再考する機会を与えている。


個人の意見

 少し前、Twitterで騒動になっていましたね。