世界一の日本酒
ロンドンで7日開かれた世界最大級のワイン品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)2010」で、日本酒部門吟醸酒・大吟醸酒の部の最優秀賞「チャンピオン・サケ」を獲得した井上清吉商店(宇都宮市白沢町、井上郁雄社長)の「澤姫大吟醸 真・地酒宣言」。杜氏として携わり、授賞式に出席した井上裕史専務(36)は13日「栃木の米で造った酒が世界一になったことが何よりうれしく、自信になった」と、喜びを語った。
-受賞の感想を。
「県産酒造米『ひとごこち』、鬼怒川の伏流水、県産業技術センター開発の酵母で造った百パーセント栃木の地酒が世界一。本当にうれしい。酒米と言えば兵庫県産『山田錦』が有名だが、栃木の米は山田錦に負けないと信じていた。それが世界で証明された」
-羽織はかま姿で臨んだ授賞式。チャンピオン獲得の予兆は。
「まったくない。『ウィナー・イズ・サワヒメ』とアナウンスされたときは、何が何だか分からなかった。ステージで思わずトロフィーを頭上に掲げてしまった」
-栃木産の原材料にこだわった理由は。
「栃木はコメも水もおいしい。地酒の評価も高まっている。他にもたくさん魅力があるのに、県民自身が知らない。栃木のブランドを全国にガツンと示せるものを作りたかった。おいしいワインの産地は、風土までが探求対象になり、世界中から人々が訪れる。日本酒もそうなればと思い挑戦した」
-いいものが仕上がるまでに苦労もあったと思う。
「受賞した2009年産は真・地酒宣言の5年目。周囲からは『品評会に出す酒は、山田錦を使う方がいい。栃木米はマイナス』という声が正直、強かった。それをはねのけ、栃木の味がする酒を造りたかった。賭けの部分もあった」
-「澤姫」ブランドを、どう育てたいか。
「大きなブランドにしたいとは思っていないが、他県、他国からうらやましがられる、うまい酒を手ごろな価格で提供し続けたい。肩ひじ張らずに楽しむ中で『この酒、世界一になったんだって』と話題にされたら、うれしいじゃないですか」
個人の意見
栃木県にこだわって、原材料だけでなくナベサダのジャズを聴かせて仕込んでいるとか。