琵琶湖のブルーギルで養鶏飼料、外来魚駆除とコスト低減の一石二鳥

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iza news 13:23

 琵琶湖の生態系に悪影響を与えている外来魚のブルーギルを原料とした栄養価の高い養鶏飼料をつくることに、立命館大生物工学科の久保幹(もとき)教授(環境微生物学)と滋賀県などの共同研究チームが成功した。粉末ではなく液状なのが特徴で、従来の飼料に少量を調味料のように加えることで、ニワトリの成長が早まることを確認した。穀物価格高騰の影響で値上がりする飼料の節約と、“悪役”である外来魚の有効利用という一石二鳥の効果が期待されている。

 琵琶湖には約160トンの外来魚が生息し、約8割がブルーギルと推定される。固有種のニゴロブナやホンモロコを駆逐するなど生態系に悪影響を与えていることから、滋賀県は漁協に補助金を出したり、釣り人に協力を求めたりするなどして、年間約500トンを駆除している。

 駆除した外来魚は、ほとんどを地元企業などで組織する「淡海(おうみ)再資源化協同組合」が処理しており、乾燥させ粉末化した「魚粉」も飼料として商品化されている。しかし、養鶏業者らへの販売は苦戦しているのが現状だという。

 このため、この飼料の改善を目指し、平成17年度から同組合と滋賀県畜産技術振興センター、久保教授らの3者が共同で研究をスタート。発酵によりタンパク質を分解し、単に粉末化した場合よりも吸収率を上げる方法を考案した。

 発酵には、久保教授が特許を持っている納豆菌の一種「HA12」を使用。粉砕したブルーギルに10倍量の水を加えた上で少量のHA12を混ぜ、48時間発酵させる。滋賀県特産の「近江シャモ」で試験を行ったところ、従来の穀物飼料に少量を添加して食べさせると、穀物飼料だけを与えた場合に比べ、平均して体重が10%増えたことが確認された。食味試験でも、従来の飼料だけで育てた鶏肉よりもおいしいとする結果が出たという。

 久保教授らは今年3月に特許を申請。ブルーギル以外でも、約10種類の魚を原料にして試作したところ、ブラックバスなどスズキ目で作った飼料は栄養吸収率が高いことが分かった。

 同組合の林市雄事務局長は「安全で安心な飼料を作ることができた。養鶏農家に試してもらい、よかったという声が聞けた段階で本格的な販売に乗り出したい」と商品化に意欲をみせている。

 養鶏飼料は、原材料のほとんどがトウモロコシや大豆で、世界的な穀物価格の高騰に伴い、この2年間で値段が2~3倍になっている。久保教授は「駆除される魚の有効活用ができればと始めたが、飼料の高騰でさらに販売の活路が見いだせるようになったのでは」と話している。

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