やっぱりいた! 西湖でクニマス発見


TBS系(JNN) 12月14日(火)18時47分配信
 今年3月、山梨県富士五湖の1つ、西湖で京都大学の研究チームが70年ぶりにクニマスを発見しました。
 
 クニマスは元来、最も水深のある秋田県田沢湖にしか住まないとして珍重されていましたが、戦時中、水力発電のため田沢湖酸性水を導入したことで、絶滅したとされていました。

 絶滅する前に田沢湖以外の西湖などにクニマスの卵を放流していましたが、これまで生息は確認されていませんでした。

 「まさか生きてるとは思ってなかった。今の状態で維持をしていければ、十分西湖の生態系は守れますのでクニマスは滅ばない」(クニマスを発見した京都大学の中坊徹次教授)

 クニマスは、環境省レッドデータブックにも記載されていますが、絶滅種の発見で今後、関係者による議論が深まりそうです。(14日22:53)

最終更新:12月15日(水)7時26分

TBS News i


毎日新聞 12月15日(水)11時44分配信

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 環境省レッドリストで「絶滅」とされているサケ科の淡水魚「クニマス」が富士五湖の一つ、山梨県の西湖で生息していることを京都大総合博物館の中坊徹次教授らが確認した。クニマスは1940年ごろ、秋田県田沢湖で最後に確認されて以降、姿を消しており、約70年ぶりの発見となった。「絶滅」とされた種の魚の発見は初めて。


 中坊教授によると、同教授からクニマスの絵を描くよう依頼された知人でタレントのさかなクン東京海洋大客員准教授)が、西湖で捕獲された黒っぽいマスを持ち込んだのがきっかけ。

 改めて捕獲したマスを3~4月に解剖したところ、体の色だけでなく、胃にある指状の器官の数やえらの形の特徴などが、記録に残っていたクニマスと一致した。西湖のマスは形などが似ているヒメマスの亜種とされていたが、遺伝子分析を行うと遺伝子型が違っていた。

 クニマス田沢湖だけに生息していた固有種で、成魚は全長約30センチ。35年ごろ、田沢湖から卵10万個が西湖と、近くの本栖湖に移されたという記録があり、中坊教授は「その時、生まれたクニマスが生き残っていたのではないか」と話している。【広瀬登】


個人の意見

 上記の記事を探すキッカケになったのは、以下の記事から・・・。

朝日新聞 2010年12月15日5時2分
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「ここでクニマスを釣り上げ、びっくりしました」と話すさかなクン=8月、山梨県の西湖、中山写す




 「絶滅」とされていた秋田県田沢湖クニマスが、山梨県の西湖でみつかった。クニマスの絵を残したい――。そんな思いが、「奇跡」を引き寄せた。

 70年前に絶滅したと信じられていたクニマスの再発見の立役者は、さかなクン東京海洋大客員准教授)だった。

 漁師と船に乗り、珍しい魚を見つけると、京都大総合博物館の中坊徹次教授に教えを請うていた。その中坊教授の部屋を訪ねたのは今年3月。「どう見てもクニマスじゃないかと思うんです」と保冷箱から2匹を取り出した。

 中坊教授の表情が一瞬にして変わった。「なんやこれは!」。20センチほどの黒ずんだ体がオリーブ色に輝いていた。

 長年、クニマスを研究してきた中坊教授は旧知の仲であるさかなクンに「クニマスを描いてほしい」と頼んでいた。現存する標本は約20匹。白か茶色に変色している。田沢湖周辺でも、生きていたクニマスの姿を記憶する人は今や数人。できるだけ正確に再現したかった。

 さかなクンイラストレーターでもあり、ウロコやヒレの数までこだわり、正確に繊細なタッチで描くことでも知られる。日本魚類学会年会の要旨集の表紙も描いたことがある。京大にある標本を、前、後ろ、横、上、下の5方向から観察して詳細にスケッチした。だがホルマリン漬けでは、ひれやウロコがわかりにくい。「ヒメマスと比べたら」と中坊教授に言われ、知り合いの漁師に頼んで北海道の湖や富士五湖から送ってもらった。

 西湖から届いた保冷箱を開けると、二十数センチの魚が4匹。ヒメマスなのに、「なんで黒いんだろう」。傷んでいるのかと思ったが、新鮮だ。そこで、京大へ持って行った。

 中坊教授は仰天した。腹に卵を持つ個体もいる。ヒメマスの産卵は秋ごろで、体は銀色だ。「ヒメマスなら今の時期に産卵しない。これはクニマスだ!」

 クニマス田沢湖の固有種だが、かつて西湖に卵が送られたとの記録が残る。さかなクンと中坊教授は4月、一緒に出かけた。湖の中ほどで刺し網をあげると、最後に黒い魚が1匹あがった。「ひえーっ。クニマスだ!」とさかなクン。漁師は「前に釣りあげたことがあったが、ここでは『クロマス』って呼んでいる魚」と話した。(中山由美

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 〈クニマス田沢湖田沢湖は面積26平方キロメートル、最深423メートルの日本一深い湖。かつては沢水以外に流れ込む川はなく、透明度は極めて高かった。

 田沢湖の北には玉川温泉があり、湧き出す強酸性の水が玉川に流れ込んでいた。玉川の水を中和して農業用水を確保し、同時にダムにして電力供給するため、1940年に玉川の酸性水田沢湖に導入。すると、湖に生息していたクニマスをはじめ、スナヤツメやイワナサクラマス、アユ、ウグイは、1年足らずで姿を消した。89年から玉川の酸性水の処理が始まり、田沢湖の水の酸性度は下がって、放流したウグイが生息している。


Asahi.com 2010年12月15日3時1分

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 環境省レッドリストで「絶滅」扱いになっている日本固有の魚クニマスが、山梨県内の湖で生き残っていたことが、京都大学の中坊徹次教授らのグループの調査で分かった。生息の確認は約70年ぶり。国のレッドリストで絶滅種に指定された魚が再発見されたのは初めて。環境省は今後、レッドリストの記述を見直す方針だ。

 クニマスはもともと、秋田県田沢湖にのみ生息する固有種で、成長すると全長30センチほどになる淡水魚。食用魚として漁業の対象にもなっていた。だが、1940年以降、発電などのための導水工事で田沢湖に酸性の水が入り、まもなく死滅。地球上から姿を消したと考えられていた。

 クニマスの生息が確認されたのは富士山に近い山梨県富士五湖の一つ、西湖(さいこ)。今年3月から4月にかけて西湖で地元漁協が捕獲した通称「クロマス」と呼ばれる魚9匹を中坊教授らが分析した。

 全体に黒っぽい体色だけでなく、エラの構造や消化器官の形などがいずれもクニマスと一致した。1~3月に産卵するという生態も、過去に記録されていたクニマスの生態と同じだった。また、遺伝子解析の結果、西湖に生息するヒメマスと異なり、ヒメマスと交雑したものでないことが裏付けられた。近く、クニマスの生息確認を報告する論文が、学術専門誌に掲載される見通しだ。

 中坊教授が今年2月、研究者としての好奇心もあり、旧知でテレビなどで活躍する東京海洋大学客員准教授のさかなクンに、生き生きとしたクニマスの姿を絵で再現するよう頼んだのがきっかけだった。さかなクンが絵の参考にと近縁種のヒメマスを西湖から取り寄せると、黒一色の魚が届いた。

 田沢湖で絶滅する5年ほど前、放流用にクニマスの卵が10万粒、西湖に運ばれた記録がある。このとき放流されたものが繁殖を繰り返し、命をつないできたとみられる。

 西湖では以前から、ヒメマスに似て体色が黒っぽい魚がおり、「クロマス」と呼ばれていたが、地元では「黒いヒメマス」と考えられていた。

 環境省レッドリストによると、絶滅種に指定された日本の魚類はクニマス、ミナミトミヨ、スワモロコ、チョウザメの計4種。中坊教授は「西湖は水温が比較的低く、クニマスの生育に適していたのだろう」と話す。環境省は「絶滅種が再発見された例は植物や菌類などではあるが、魚では初めて」としている。

 クニマスの標本は世界に約20点しかない。幻の魚として話題を集め、90年代には当時の田沢湖町観光協会が最高500万円の懸賞金をかけて捜したが、見つからなかった。(山本智之)

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 〈レッドリストと絶滅種〉環境省レッドリストで、絶滅の恐れがある日本の動植物の一覧を示している。1991年からレッドデータブックを刊行する一方、最新情報を集計したレッドリストをネット上で公開。レッドリストには亜種を含む日本の絶滅種120種、絶滅危惧種3155種が掲載されている。野生生物の保全を進める上での基礎資料で、5年に1回程度、改定作業が行われている。

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 環境省レッドリストで絶滅種に指定されている魚「クニマス」が、山梨県にある富士五湖の一つ、西湖で生息していたことが15日、分かった。京都大の中坊徹次教授らが発見、確認した。
 クニマスはサケ科の淡水魚で、本来秋田県田沢湖にだけ生息する固有種。体の色が黒っぽいことなどが特徴とされる。しかし、かんがいと発電所建設で田沢湖に強酸性の水が流入したため、1940年ごろに絶滅したとされていた。
 今年2月、クニマスを資料に残そうと、中坊教授が東京海洋大客員准教授で、イラストレーターでもあるさかなクンクニマスのイラストを書くよう依頼。ヒメマスを参考にするようアドバイスした。さかなクンが全国各地から取り寄せ、3月に持ち込んだ西湖のヒメマスが実はクニマスではないかと思い、4月に教授自ら西湖で採取し、体の色や遺伝子分析などをしたところ、クニマスと判明したという。(2010/12/15-12:47)

 しかし、西湖でクニマスか~!
 10年以上前、ヒメマス釣りに行った先輩が「このなかにクニマスがいるかもな~」と言っていましたが、まんざらじゃなかったな~。



 あ、これじゃない、そうですか。

 さかなクンは、陛下の前でも、例の帽子をかぶっているんですね~。