人気釣り餌入荷せず アミエビ、産地被災で高騰も

イメージ 1


 和歌山県南部の釣り愛好者に人気の餌アミエビが、東日本大震災の影響で入荷が難しく、価格が高騰し始めている。国内の水揚げのほとんどを被災地の三陸常磐地方が占めているためで、卸業関係者は「現地の取引先と連絡が取れない」と安否を心配するとともに「業界は混乱している。在庫は近く尽きる」と危機感を募らせている。


 アミエビは、エビに似た全長約1センチの小型甲殻類で、主にアジやイサキ釣りに用いられる安価な餌。一般の釣り人だけでなく漁師、養殖業者も使う。

 大手釣り餌製造卸業の浜市(本社・みなべ町埴田)によると、アミエビの水揚げは、岩手県宮城県で全体のほぼ90%を占め、福島県茨城県を含めると100%に近いという。

 全国の餌製造業者や卸業者は、冷凍処理したアミエビを産地の加工業者から入荷し、カットしたり2次加工したりして小売店に卸している。浜市の入荷先は岩手県宮城県だが、ほとんどが被害の大きかった岩手県大船渡市や大槌町。玉置和照専務(51)は「冷凍加工場や市場、漁船が壊れたり流されたりしただけでなく、多くの漁業者も被害を受けた。連絡が取れない業者もある」と話す。

 3月から5月ごろまでが漁期で、岩手県では今月5日に漁が始まったばかり。業界で在庫1万トンを保有していたと推測されるが、そのうち7割が現地の倉庫で被害を受けた。玉置専務は「例年通りの消費量では4月末までに無くなる。各卸業者は出荷量を小出しするなど対応しているが、それでも1年ももたないのでは」という。

 さらに本来、アミエビの需要最盛期は、アジ釣りが盛んになる夏ごろだが、先を見越した小売店が早めの確保に動いている。浜市にも、津波被害の状況が分かり始めた12日の昼ごろから、全国から注文や問い合わせの電話が殺到。同社では残り少ない在庫をできるだけ長い期間出せるよう、出荷を一部商品に限定し、ほぼストップした。

 海外では、中国や韓国でも国内産と似た種類のアミエビが水揚げされ、近年、国内でも一部の養殖業者で使われ始めている。浜市では海外産の確保やオキアミを使った代替品の開発にも急きょ着手したいという。

 別の卸業者社長も「取引先と連絡が取れず、まったく入荷できない。在庫もいつ切れるか分からない。アミエビは主要な餌なので死活問題だ。海外産を確保したいが、価格や品質が分からない不安がある」と嘆く。

 田辺市宝来町の釣具店「つり友商会」の田上正行社長(76)は「まだ在庫はあるが、これから入荷が難しくなる。この後アジやイサキのシーズンになれば釣り人は困ってしまうだろう」と話す。

 すでに価格が上昇し始めており、小売店からは「釣りを控える客も増えるのでは」と心配する声も聞かれる。

個人の意見

 何に影響が出て、品薄になるか分からないものです。