叱られて辞めた「ヘラブナ釣り」
日刊ゲンダイ 12月1日(日)10時26分配信
あるときは料理番組のアシスタント、あるときは旅番組のリポーターを表情豊かにこなす。照英さん(39)は大学時代に全日本学生選手権と、ひろしま国体のやり投げで準優勝。筋肉ムキムキの体は陸上競技で磨きをかけた。秘蔵の一枚には、祖父との思い出がぎっしり詰まっていた――。
■夏休みは野尻湖へ
「玉網の中に入っているのはコイ。ハヤもいるかな。ボクは小学校の1、2年。ドヤ顔というより、テレ顔してますね。隣にいるのは母方のおじいちゃん。後ろに小さく写っているのが父です。姉とおばあちゃんはいませんが、きっと、母が撮ってくれたんでしょう。
場所は長野県の野尻湖。今はワカサギ釣りで有名なんですが、そこに父が勤めていた三菱銀行の保養所があった。夏休みになると、毎年のように家族で出かけていた思い出の場所です。いつも何泊していたかは覚えてませんが、この桟橋からボートに乗って、おじいちゃんと2人で釣りをしたことはよ~く覚えてます。
今回、この取材を受けることになって<釣りの写真あるかな>と、改めて古いアルバムを探したんです。山ほどあった20冊の中から出てきた釣りの写真は、たったの3枚。これはその中の一枚。
実は、ボクの趣味は釣り。最近は仕事で釣り番組とかにも出るんですが、この瞬間がなかったら、釣りに出合うこともなかったはず。おじいちゃんにはすごく感謝していますよ。ハッハッハ」
身長184センチ。彫りの深い顔、締まった体とスッと伸びた背筋。じかに見る“風の鬼若”は、元モデルだけあってさすがにカッコイイ。
■ヘラブナ釣りの“師匠”
埼玉県鴻巣市生まれ。高校時代までそこで過ごす。母の実家がある浦和までは電車で30分ほどの距離だった。
「おじいちゃんはヘラブナ釣りが好きでしてね~。母の実家では、庭に池を掘ってヘラブナを飼っていたほど。2階へ続く階段の壁は竿置きがあって、ブワ~ッと釣り竿が何本も並んでた。
「おじいちゃんはヘラブナ釣りが好きでしてね~。母の実家では、庭に池を掘ってヘラブナを飼っていたほど。2階へ続く階段の壁は竿置きがあって、ブワ~ッと釣り竿が何本も並んでた。
ボクは子供のころよく母に連れられ、土日に泊まりがけで母の実家に遊びに行ってたんです。ひと月に1回、いや隔週ペースで泊まっていたかもしれません。おばあちゃんちには浦和の千鳥屋さんのチロリアンというお菓子が必ず買ってあった。おいしいんですよ~。話がそれましたね。
で、熱~いお風呂に入って、晩ご飯が終わると、おじいちゃんと釣り道具で埋め尽くされた2階の部屋へ。ここでラインの結び方や仕掛けの作り方を教わるんです。魚拓もやらされたことがありますよ。おじいちゃんは器用な人で、ウキまで自前のモノを作っていました。翌朝は4時とかに起こされて、必ず卵かけご飯を食べてから一番で釣り堀へ出かける。浦和の大谷口へら鮒センターです。おじいちゃんのスーパーカブ号の後をボクが自転車でついていく。昼はカツ丼とかを出前でとって、夕方までヘラ釣り。まるで部活の合宿みたいでしょ。おじいちゃんが、ヘラを釣り上げ、こうタモですくう姿がかっこよくてねぇ~。いまだに目に焼きついてますよ」
最初は2人のいとこと一緒に釣りを習ったが、残った“弟子”は照英さん1人。大人になってからやめた理由を確かめたところ「よく叱られたから」だったそうだ。
ヘラ釣り修業は、中学入学まで続く。そのとき、師匠からもらった8尺のヘラ竿は「ちょっと短めなんですが、今でも持っている大事な1本です」と振り返る。
■「ひ孫もやってるよ~」
「大学(東海大学)は平塚にあったんですが、しょっちゅう海釣りをしてました。4年のとき、陸上を続けるか迷った。この業界に入ると決めて、お金を貯めるために上州屋系列の『アウトドアワールド』の伊勢原店でバイトしたのも、子供のころから釣りをやっていたからです。
このバイトで釣りの技術を覚え、キャンプ道具の使い方やテントの張り方までみっちり叩き込まれた。それがいま、アウトドアの番組などで役に立つとはね~。ホント、おじいちゃんに見せてあげたかった。
だいぶ前に81歳で亡くなったんですが、形見分けでもらった釣り竿3本は今でも使ってます。6歳と3歳の子供を連れて、しょっちゅう釣りに出かけています。今度、お墓参りに行ったら<ひ孫も釣りをやってるよ>って伝えなきゃなりませんね」
祖父とのツーショットから約30年。いま、照英さんの自宅の物置は「釣り道具でいっぱい」だそうだ。
個人の意見
>場所は長野県の野尻湖。
自分は毎夏、砂間館へお世話になっていました。
>玉網の中に入っているのはコイ
タモ網じゃなくて、フラシですよ。
埼玉県生まれの釣り人ならば、ヘラブナ釣りに接することができたのも当然か・・・。
>上州屋系列の『アウトドアワールド』の伊勢原店でバイト
この店、すっごく思い当たる。
>最初は2人のいとこと一緒に釣りを習ったが、残った“弟子”は照英さん1人。
>大人になってからやめた理由を確かめたところ「よく叱られたから」だったそうだ。
>大人になってからやめた理由を確かめたところ「よく叱られたから」だったそうだ。
笑。
叱られて教育された世代の人たちは、教えるというのは叱ることだと思っている節があります。
一生懸命教えるほどに強く叱りますので、悪気はないのですがイメージは悪くなります。
叱られて教育された世代の人たちは、教えるというのは叱ることだと思っている節があります。
一生懸命教えるほどに強く叱りますので、悪気はないのですがイメージは悪くなります。
勉強嫌いを大量生産したのは、この教育方針でしょうね。