マッコリ密造女性を国税摘発


毎日新聞 10月7日(火)8時0分配信

 韓国の伝統酒「マッコリ」を無免許で製造したとして、大阪国税局が京都市南区の70代女性を酒税法違反で摘発したことが分かった。追徴課税と罰金それぞれ約70万円を納めるよう通告し、女性は全額を納めた。女性が密造したマッコリは「おいしい」と口コミで広がり、地元の飲食店などに2年間で少なくとも数百万円を売り上げたという。

 関係者によると、酒造免許がない女性は2013年までの約2年間にマッコリ約6キロリットル(1.8リットルのペットボトル約3300本分)を製造したとされる。

 市販のマッコリの大半は発酵して腐敗しないよう加熱処理されているが、女性は加熱をしない「生マッコリ」を造っていた。生マッコリは賞味期限が短い一方、乳酸菌が生きたままでほんのりした酸味と発泡が味わえるため、特に人気が高い。

 女性は在日コリアンが多く住む南区東九条の借家の建物で、母親から受け継いだレシピをもとに密造・販売していたとみられる。

 「無許可で手作りのマッコリを販売している人がいる」と通報があり、国税局が調査を始めた。今年1月に家宅捜索し、密造場所からはペットボトルに入った多数のマッコリや製造途中のもろみを発見したという。女性は無許可製造を認めて罰金や追徴課税など全額を納付した。

 酒税法はアルコール度数1度以上の酒類を製造する場合、届け出が必要で地元の税務署長の免許を受けることを義務付けている。違反した場合は10年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられる。

 国税庁によると、03年から12年までの10年間で酒類の密造の摘発数は44件、合計の酒税追徴額は800万円に上る。10年には大阪市生野区のコリアンタウンで主婦がマッコリを無許可製造したとして大阪国税局に摘発された。

 ◇自家製、お客は「残念」

 マッコリが密造されていた京都市南区東九条地区はJR京都駅南に位置し、在日コリアンが多く住む。韓国料理店や焼き肉店が建ち並び、本場の味が楽しめるとして人気スポットにもなっている。

 女性は住宅街の一角の築40年の2階建て家屋を借り、マッコリを密造していたという。かつてはスナックが入居していたらしく、建物には店の看板が設置されたままだ。知人によると、カウンターや客席が残る1階に鍋のような容器や材料を持ち込んで密造していたという。

 区内の焼き肉店の男性従業員によると、以前は別の場所で女性の母親がマッコリを造っていたが、数年前に女性が跡を継いだ。麹(こうじ)を多く使い味が濃く、生マッコリ本来の微発泡が感じられたという。

 価格は1.8リットルのペットボトル1本1200円。新鮮で発酵が続いており、ペットボトルが破裂しないようキャップを緩めて売られていた。市販の加熱されたマッコリより2割ほど高いが、焼き肉店では「自家製マッコリ」として提供、客の一番人気だったという。

 男性従業員は「お客さんに『あのマッコリはないのか』と聞かれて困っている。法律に違反していては仕方がないが、残念だ」。

 別の飲食店経営の女性は「30年ぐらい前までは密造する人が多かったが、最近は女性だけだった。建前は酒麹の販売だったが、行けばマッコリを売ってくれた」と話した。

 密造場所の近所の60代男性は「スナックを営業している様子はなく、毎朝おばあさんが通っていた。何をやっているのか不思議だったが、まさかマッコリを密造していたとは……」と驚いていた。


 白く濁った、朝鮮半島伝統の醸造酒。原料の米などを蒸して麹(こうじ)を加えて発酵させて造り、乳酸菌が多く含まれる。アルコール度数は6~8%程度。近年は日本でも人気が出て、多くの飲食店で提供されている。


個人の意見

 生マッコリは流通していないから、有資格(醸造免許)の店しか提供はできません。
でも、多いよね「生マッコリあります」の貼り紙(5年くらい前がピーク)。

 ホビーとしてのキットも出ているけれど、自家製ビールとかも含めて、販売目的でなくても密造酒(漬け込む果実酒は除く)はダメなんだよ。

注釈
酒造免許と密造について

密造酒(日本における密造)
日本において酒類製造免許がない状態でのアルコール分を1%以上含む酒類の製造は、酒税法により原則禁止されている。 ウィキペディア
お酒のQ&A
酒税法では、水以外のものを酒類に加えて新たなお酒を造ることはできませんが、昭和37年に酒税法の例外として家庭で楽しむ目的に限り、梅等を酒類に加えて新たな酒類をつくることが認められています。 酒類総合研究所

生マッコリとマッコリの違い

生マッコリとマッコリの違い
日本に一般的に輸出されているマッコリは、長期保存ができるように加熱処理が施されています。 ウリ商事