外来フナ


2月10日10時35分配信 琉球新報
 琉球列島在来のフナが約100万年前に中国系統と分かれた固有の個体群であることが、東京大学海洋研究所や琉球大の研究グループによる遺伝子解析から明らかになった。世界に広く分布するフナの系統の全体像を明らかにする研究の中で判明した。研究者によると、琉球列島や日本の生物相の成り立ちを知る上で非常に重要な意味を持つ結果という。研究論文は1月に英国の進化生物学の専門誌「BMC Evolutionary Biology」の電子版に掲載された。
 東大海洋研の高田未来美研究員によると、ヨーロッパ系と日本列島系などおおまかに分かれていたフナを遺伝子レベルで系統を分類したのはこれが初。フナは見た目で生態的特徴がほとんど変わらず、在来のものか人為的に持ち込まれたか明らかになっていなかった。
 研究では、沖縄本島北部や伊平屋島など琉球列島に生息する485匹を含め、台湾やユーラシア大陸の東アジア地域など合計31地点から約800匹のヒレと血液を採集。これらの遺伝子を最新の解析方法で比較した。
 その結果、フナ類はゲンゴロウブナとヨーロッパブナ、フナの3種に分類された。そのうちのフナは400万年前に日本列島系統と大陸・台湾・琉球列島系統の2系統に分かれた。日本列島系統はさらに3系統に分かれ、大陸・台湾・琉球列島系統も琉球列島固有系統を含め4系統に分かれた。
 琉球列島の個体群は中国系統から約100万年前に分化したと推定される。歴史上では、琉球列島が島になったり大陸と陸続きになるのを繰り返した時期とされるが、フナの分化との因果関係は解明されていない。
 今回琉球列島で採集したフナのうち約半数の231匹が外来個体だったことも分かった。自然河川に在来フナが多い一方、貯水池や水路に外来系統が多かった。県内では1980年代ごろに中国や台湾系統のフナが人工池などに放流された経緯があり、在来フナの遺伝的かく乱が懸念される。高田研究員は「琉球列島は(川など)水が少なく淡水の在来種はとても貴重。見た目で区別はつかないが、在来に絞って保全するために識別方法も開発したい」と話した。(慶田城七瀬)

個人の意見

 琉球へ、フナ釣りに行きたいですね~。