釣りガール3


日経ウーマンオンライン(日経ウーマン) 2010年12月24日(金)11時41分配信

電車でいけるワカサギ釣り

 ワカサギ釣りの道具を購入した数日後、釣りガール候補生の小路さん、染原さん(この二人を心の中で林家ペー・パー子と呼んでいる)と、担当編集者の関口さん(男性)とで、平日の早朝に電車で湖へと向かった。


 目指す先は神奈川県にある相模湖。ワカサギが釣れる湖は各地にあるが、ここは都心からのアクセスがとてもよく、電車での日帰り釣行が余裕でできるので、仕事が忙しい釣りガール候補生達にとってはピッタリの湖。

 ただちょっと気になるのは、ボート屋さんに予約をした関口さんの話だと、「今はまだ釣れていないから、もうちょっと寒くなってからのほうが……」というようなことを店主に言われたということ。※取材日は11月17日でした。

 まあそうはいってもワカサギ釣りだし、いくら初心者でも夕飯分くらいは釣れるだろうと、この時は思っていたんだよね。

 そういえば前回の買い物で、小路さんがつなぎのスウェットみたいなインナー(でもノースリーブ)を、「これかわいー!」と喜んで買っていた。サロペットっていうんですかね。実は私も気になって同じものを購入しており、「男女でインナーがおそろいって面白いですね!」みたいな話をしようと思っていたのだが、小路さんにとってのそれはインナーではなくアウターだった。

 ステテコ感覚で服の下に着ていた側からみるとちょっとびっくりのコーディネートだったが、なるほどこういう着方もあるのか。水や汚れに弱そうだけど、これはあくまで暖房の効いた電車内での格好なのだろう。我々がこれから向かうのは氷こそ張ってはいないけれど、寒い寒い湖の上。事前に相当寒いので必ず厚着をしてきてくださいねという話はしてあるので、きっとこの上に着る防寒用のズボンを持ってきているはず。

 念のため「ズボン持ってきていますよね」と聞いてみたら「もちろん!」との答え。やっぱりね。しかしそれに続いた言葉は、「この格好じゃ会社にいけないので、着替え用を持ってきています」というものだった。そうきたか。

ボート屋までは徒歩で移動

 今回お世話になるのは「天狗岩」というボート屋さん。今シーズンは初めてだけど、今までに何度もお世話になって釣れなかったことが一度もない、私が信頼しているお店である。藤野駅からは徒歩10分ちょいというところ。

 天気こそ残念ながら曇り空だけれど、相模湖とそれを囲む色づいた木々が見えてくると、みんなの気持ちが一気に高揚してきた。紅葉(こうよう)だけにだ。

 釣り場はこの湖の上なので、見渡せば360度すべて絵葉書のような見事な景色。盛り上がる二人を見て、ここを選んでやっぱりよかったと思った。まあ結果としては、場所はよかったけれど日にちが悪かったんだけどね。

ボート釣りだけど、自分でボートを漕ぐ必要はない

 ボート屋の受付で乗船料とエサ代を支払い、併せてライフジャケット、バケツ、座布団をお借りする。ボート釣りというと自分でオールを漕いでポイントまでいくパターンが多いのだが、ここは店主がモーターボートで一番釣れているポイントまで引っ張って行ってくれるので、自分で漕ぐ必要が全くない。

 女性にとって一番の不安点であるトイレ問題も、行きたくなったら常に見回りをしているお店の人に声を掛ければ、トイレまで連れて行ってくれるので問題なし。去年来たときは、若い女性だけのグループも見掛けたくらい釣りの難易度は低い。

仕掛けの説明

 ポイントに到着したところで、ようやく釣りの準備開始。釣りを始めるまでがあり得ないくらい長い記事ですみません。魚が登場するまでもうちょっとお待ちください。

エサを付けられるかが問題だ

 仕掛けの用意ができたら、あとはエサを付けて魚を釣るだけなのだが、女性にとっては(たまに男性でも)、このエサを付けるという行為ができるかどうかが問題なのである。

 この赤虫というエサ、虫が苦手な人にはかなり厳しいかもしれないと思って、実は釣り具屋で買い物をしたときに、店員さんに見せてもらっていたのだ。もし触るのが無理そうなら、人工餌(紅雪という赤いそうめんみたいの)を購入しておこうと思ったのだが、「虫のほうが釣れるならそっちで大丈夫!」という女性陣の力強い答えだったので、今日は用意をしていない。

 染原さんは「北海道出身だから全然大丈夫!」といいながら、素手でヒョイヒョイと針に刺していった。さすが釣りガールを目指している女性だけはある。しかし問題は東京出身の小路さんだった。

 私がエサを付けてあげることは簡単だが、ここでそうしてしまうと、今後も誰かがやってくれるものだと思って、彼女は二度と自分でエサを触れなくなってしまうだろう。それでは一人前の釣りガールになんてなれっこないという思いから、あえて手伝わずに見守ることにしたのだ(建前)。それにほら、何度もエサを付けてと頼まれるのも面倒だし(本音)。

 高所恐怖症を克服するコツは、高い場所に何分か立ち止まること。そうすれば人間は自然と高さに慣れてくるものらしい。赤虫だって同じこと。何分か触っていれば慣れてくるものだよ、なんて適当なことを言いながら自分の竿に集中をする。どうも今日は湖が濁っているせいかアタリが少ない。たまに竿先にプルプルっとくるが、針に掛かってくれないのがもどかしい。

 オモリが底に着くくらいの深い場所を狙ったり、底よりちょっと上を探ったりとさまざまな場所を試すこと数分、「きたきたきた!」と大騒ぎしながら記念すべき1匹目のワカサギを釣りあげたのは、なんと一通りの撮影を終えて釣り始めたばかりの関口さんだった。

「えー」

 こちらのボートに乗っている三人が、それぞれの想いを込めて、偶然にも同じ言葉を発した。

 次回は相模湖ワカサギ釣りの後編です。釣果はいかに。

玉置豊

個人の意見

 この「釣りガール」という流れ。
 釣ろうとしているターゲットは何だろう。