うなぎ味のなまず 近大が開発
スポーツ報知 2月25日(木)16時58分配信
稚魚不漁で価格がはね上がり、絶滅も危惧される中で、今や“高根の花”となった感もあるウナギ料理。最近、庶民の救世主になれそうな代替食材として「ウナギ味のナマズ」が注目されつつある。先月、都内の料理店で限定販売されると、即完売。3月にも再び提供される予定だ。ナマズを開発したのは、近畿大農学部の有路昌彦准教授(41)。水や餌の工夫など、7年かけてウナギの味、質に近付けていったという研究の苦労を聞いた。
東京の“サラリーマンの聖地”新橋の一角が、日曜日にもかかわらず活気にあふれていた。先月下旬、「おいしい寿司と活魚料理 魚の飯(まんま) 新橋店」の行列客の目当ては限定60食で販売の「ナマズ重」だった。かば焼きのナマズがご飯の上に乗り、見た目はうな重そのもの。「新しい食感だね」「ウナギよりあっさり。ヘルシーね」と特に女性客に好評で、あっという間に完売となった。
稚魚の不漁が何年も続き、絶滅危惧種にも指定されたニホンウナギ。養殖業者によると、昨年のウナギ1キロ(5尾)の卸売価格は3000円台で、今年は既に4000円台に突入している。これを受け都内の主な専門店は、現在うな重を3500~4000円で販売。夏場には、さらに価格高騰が予想される。もはや庶民が気軽に食べられる値段とはいえなくなっている。
「『このままではウナギは食べられなくなる。ウナギ関連業者が倒産してしまう。どうか代わりの魚をさがしてほしい』と依頼されたんです」
代替魚開発を決意した有路准教授はまず、あらゆる淡水魚をかば焼きにして食べたという。コイ、フナ、ブラックバス、ブルーギル、ドジョウ…。一番まずかったのはブラックバスで、准教授は「かば焼きにしても生臭くて食えたものではなかった」と思い出して苦笑する。「ドジョウが一番ウナギに近かった」が、小さいため身を割いて骨をとるのが面倒すぎる。養殖に向かないこともあり、候補から外した。
自ら琵琶湖で捕まえて食べてみると、やはり脂が乗っておいしい。違いは何か。「水でした。ナマズは生息する河川のバクテリアを取り込むので、水がよくないと臭くなる。逆に生息環境、餌を工夫すれば、ウナギのような味になると確信しました」。豊富な地下水の質を管理し魚を育てている鹿児島県の牧原養鰻に養殖を依頼。同社もナマズに着目していたというタイミングも合致し、研究が進んだ。
もうひとつの課題は餌。「養殖を採算ベースに乗せるためにも、コストのかかる新しい餌は作らない。300種類ぐらいある養殖魚用の餌を組み合わせようと考えました」(有路准教授)。もともとは淡泊で、脂質が10%ほどと少ないナマズに脂を乗せようとすると、身に弾力がなくなる。また、脂の多い餌を最初に与え過ぎると、人間でいう脂肪肝になって死んでしまう…。試行錯誤し、答えにたどり着くまで4年もかかった。
結局、餌は7種類に絞り込んだ。詳しくは“企業秘密”というが、「弾力を出すために、甲殻類が入った『オキアミミール』が必要だった」と1種類だけ明かしてくれた。
7年も費やした研究開発。出荷は年間100トンが目標だが、今年は20トン程度にとどまりそうだ。稚魚の確保量の問題が残るためだが、それでも牧原養鰻は、需要が高まる7月の「土用の丑(うし)の日」に向けて増産を目指している。今回、限定販売した新橋の店は、3月にも再び販売する予定だ。
同社によると、既存の餌を使ったため「養殖のコストはウナギより3割以上安くなった」という。今回限定販売の「ナマズ重」は約1600円だった。有路准教授は「将来は『ナマズ丼』にしてワンコイン(500円)で提供したい」と、さらなるプライスダウンを目指し研究を続けている。
◆食べてみた 「ウナギ味のナマズ」を試食した。有路准教授=写真=がサンプルとして保管していたものをかば焼きにしてもらい、いただいた。和食器の上の見た目はウナギのかば焼きにそっくり。タレのせいもあってか、においも同じだ。
「尾の部分をどうぞ」と准教授に勧められるまま食べた。口に入れた瞬間、かば焼き独特の香りが広がる。皮の食感、舌触り、身の脂の乗り方、いずれもウナギのそれにそっくりだった。
次に胴の部分。さすがに脂のうまさを「すごく感じる」というほどではないが、分厚い身がウナギより食べ応えがあった。頭に近い部分は、ウナギというよりは、淡泊な白身の魚といった感じ。
「養殖のウナギの体脂肪率は18%。このナマズは13%。だから物足りなさを感じるのは、仕方がない。しかし、ナマズの良さも残したかった」と准教授。18%に近づけると、ナマズは体の構造上、身の脂に偏りが出てしまうという。ただ、天然のウナギが13%というから、天然物を食べていると思えばいいのかもしれない。
ナマズの頭からは、非常にいいダシが取れることがわかった。タレには、そのダシが使われていた。「頭は別の使い道も」と准教授は思わぬ“副産物”に喜んでいた。(典)
個人の意見
>代替魚開発を決意した有路准教授はまず、あらゆる淡水魚をかば焼きにして食べたという。コイ、フナ、ブラックバス、ブルーギル、ドジョウ…。一番まずかったのはブラックバスで、准教授は「かば焼きにしても生臭くて食えたものではなかった」と思い出して苦笑する。
ちなみにWikipediaには
>>1925年、実業家赤星鉄馬がアメリカのカリフォルニア州 (Santa Roza) からオオクチバスを持ち帰り、箱根の芦ノ湖に放流したのが最初とされる(約90匹)。これは食用、釣り対象魚として養殖の容易な魚であることから、政府の許可の下に行われた試みだった。
>>食用
>>身は癖のない白身で美味[21]。ムニエル、フライ、ポワレなどで食べられる。体表面の粘膜および浮き袋の付け根にある脂に生臭さがある場合が多いため、これを身につけないようにするのがコツとされる。表面に生臭みがある時は塩もみするか、濃い塩水中でたわしで洗うと落とせる。または、霜降りか泥抜きで臭みをとる。 小骨にも注意。また、生食では顎口虫症による健康被害が報告されており寄生虫対策として一度冷凍するか、もしくは加熱調理して食べる必要がある。水のきれいな水域の個体が美味で、汚染の危険性も低い。 ※詳しくはブラックバスの項を参照
>>身は癖のない白身で美味[21]。ムニエル、フライ、ポワレなどで食べられる。体表面の粘膜および浮き袋の付け根にある脂に生臭さがある場合が多いため、これを身につけないようにするのがコツとされる。表面に生臭みがある時は塩もみするか、濃い塩水中でたわしで洗うと落とせる。または、霜降りか泥抜きで臭みをとる。 小骨にも注意。また、生食では顎口虫症による健康被害が報告されており寄生虫対策として一度冷凍するか、もしくは加熱調理して食べる必要がある。水のきれいな水域の個体が美味で、汚染の危険性も低い。 ※詳しくはブラックバスの項を参照
>>オオクチバスを含めたサンフィッシュ科魚類は、原産地である北米では食用魚とされてきた。日本でも元々食用としての用途も意図されて移植されたが、専ら釣り(遊漁)の対象魚とされている。
・・・となっている。