釣り師にとって頼もしい天気予報サイト「GPV気象予報」はどれだけ使えるか?


12/6(水) 17:30配信

@DIME

 11月25日(土)は釣友の正林さんと車でマハタを狙って外房に行くつもりだったが中止、ならば11月27日(月)に江ノ島のアマダイへと、リタイアの僕は久しぶりの平日電車釣行を企てたが、こちらも中止した。両日共に東京は穏やかな好天だったが、中止と決めたのは天気予報ゆえだ。

【写真】釣り師にとって頼もしい天気予報サイト「GPV気象予報」はどれだけ使えるか?

 20代の時に真冬の雨降りしきる中、カワハギ釣りをやり、とにかく寒かったことを鮮明に覚えている。ただでさえ寒いのに、雨がウエアに染み込み、いよいよ体が冷える。カワハギ釣りでは小さな針にあさりのむき身を巻き込むように刺すのだが、手がかじかんで思うように刺せない。釣果はそこそこだったが、あの辛さを二度と味わうのは御免と、以降冬の雨天では釣りに行かないことにしている。

 釣り船は、雨だろうと、たぶん雪だろうと出船する。波が高かったり、風が強すぎたりと、釣り客の身の安全に問題がありそうな天候では出船中止となるが、雨に危険性はない。危険といえば10年以上前、12月末に静岡県の某港にタイ釣りに行ったときは凄かった。船は揺れに揺れ、エレベーターに例えれば1階と3階くらいを上がったり下がったりの繰り返し。うねりが高く、すぐ傍にいる船の姿が見えなくなる。下船後、「この港では、こんな天気でも出船ですか?」と船長に尋ねたら、「今日は年末でどの船も満船、書き入れ時だからね。普段なら、これじゃ出ないよ」と豪快に言われ、唖然としたものだ。

 さて僕が乗る船は、ほとんど乗り合い船だ。貸し切り船ではなく、予約順に定員に達するまで乗船を受け付ける。よって予約した以上、天気が悪そうだからとキャンセルするのは気が引けるというか、禁じ手だと思っている。なぜなら僕たちの先約によって乗船を断られたお客さんを想定できるし、僕たちが穴をあけた後に予約が入るとは限らない。船宿に不利益をもたらす可能性が高く、それでは申し訳ないのだ。

 ではどうやって悪天の日を避けるかというと、天気予報に頼るしかない。船宿や釣り人が「7時の天気予報」と呼ぶ、NHKの午後6時52分からの気象情報では、風や波の強さも予報する。これを見て海が悪いようなら船宿に電話して、翌日の出船を確認する。船が出ない場合は、こちらの携帯に電話してくれる親切な船宿もある。だが、これはあくまでも、前日にだけ通用する対策だ。NHKは先々の晴れ、曇り、雨の予報はしてくれるが、波や風の予報は翌日に限られる。

 ところが6年前、約10日先までの波風予報をしてくれる、頼りになる天気予報サイトを知った。教えてくれたのは当時知り合い、今に続く釣り仲間、豊田直之さん。職業はプロの水中カメラマンで、キヤノン販売の「海宇宙」と題した1996年の企業カレンダーには、豊田さんの写真が使われている。さらに長年、日本を代表する釣り具メーカー、ダイワのフィールドテスターを務めている。フィールドテスターは開発中の商品を実践で試し、改善点などをフィードバックする。相当な腕前でなければ務まらない役割だ。その豊田さんの、前代未聞の名著をご紹介しよう。『釣魚図鑑』(日本文芸社 新書判 320P 定価1512円/税込)だ。

 海、川、湖沼で釣れる魚、約400種類を写真入りで詳説している。そして驚くことに、魚ごとのメインの写真すべてが、自ら釣り自らその場で撮影したものなのだ。だから魚が船の甲板の上に置かれた写真が多い。また魚によっては、自ら潜って水中で撮影した写真まで掲載されている。さらに解説には魚の生物的な特徴だけではなく、釣り方や食べ方まで書いてあるのだ。その離れ業ぶりが釣り好きのハートを直撃し、現在9刷りを重ね累計3万5千部に達している。

 その豊田さんが活用し、僕も大いに利用しているサイトが「GPV気象予報」だ。「雨量・雲量」「気圧・風速」「気温・湿度」「沿岸波浪」などの予報が264時間先まで地図上に表示され、しかも1日に何度も更新される。夏は暑く冬は寒いのは釣りでは覚悟の上なので、「気温・湿度」の予報はあまり気にかけない。しかし、何日も先までの「風速」「沿岸波浪」、そして寒い季節の「雨量」は極めて重要だ。11月25日(土)の釣りを中止にした経緯はこうだ。21日火曜日にGPVを見て、おおよその様子を把握した。晴れで波も弱いが、風はかなり強いという予報。だがまだ4日前、どう変わるかわからない。水曜日になると、前日の予報よりは風が弱まる方向に。希望が見える。ところが木曜日の予報では、やはり風が強い。ここで中止と判断した。金曜日まで様子見という手もあるが、土曜日の乗り合い船ゆえ満船の可能性もある。また釣りに行かないなら行かないで、土曜日にやりたいこともある。木曜日に決めてしまった方が、何かと都合がいい。

 果たしてこの判断は正しかったか? 木曜日現在のGPVでは、波は高くないものの、かなりの強風を予報していた。よって僕はたとえ船が出ても、厳しい釣りになるだろうと推定して中止とした。されど釣れれば官軍、ハードな釣りもハッピーな釣りに変わるのだが、こればかりは実際に船に乗らないことにはわからない。当日の船のブログを見てみる。晴天で本命マハタの釣果もそれなりにあったが、朝は海が悪くうねりも強かったと書かれている。どの程度うねりが強かったかは不明だが、あえて海況を書くくらいだから行かなくて正解だったかな、と結果論ながら思っている。27日のアマダイもやはり強風が予報されていて、中止とした。

 しかし、こんな痛恨のエピソードもある。昨年2月、外房で鬼カサゴを釣ろうとした時のこと。当日の天候は数日前のGPVでは心配なく予約していたが、前日の昼頃にGPVを見ると晴天ながら相当な強風と予報され、船宿に出船を確認する電話をした。すると、もうちょっと様子を見たいので、夜にもう一度電話をと言われる。日が暮れてからのGPVは、依然として強風を予報している。これは中止と確信しつつ船宿に電話すると、地元の予報では風は収まるので大丈夫という見解だった。出船するというのだから、前日キャンセルというわけにはいかない。半信半疑ながら深夜1時半に起床、釣友2人とともに4時に港に着くが、風が吹き荒れている。素人目にも出船不可能だ。船宿スタッフは、集まった釣り客に丁重に謝っている。

 だが2度まで電話確認をした上で深夜に起床、高速料金とガソリン代を使ってやってきた僕たちは、全く釈然としない。しかしそこはいい年をしたおじさんたち、ぐずぐず文句を言うこともせず、渋々帰京した。空の天気そのものはよく、高速の車上から見た真冬の夜明けの美しさが、せめてもの慰めだった。自然が相手ゆえ、こういうケースは仕方ないと言えば仕方ないが、せめて期間限定の乗船料割引券とかを配ったらいいのではと思い、そんな意見を釣り雑誌の読者ページに送ったら採用してくれた。

 リタイア釣り師、時間はたっぷりあるものの、頻繁に釣行できるほどお金のゆとりはない。また今や齢60を越えた身、うねりで船が揺れ、風で仕掛けを扱いにくい中、悪戦苦闘しつつ釣るのは避けたい。釣るときは、絶好のコンディションの日を選びたい。その頼もしい味方が「GPV気象予報」なのだ。

文/斎藤好一

@DIME編集部

個人の意見

>僕も大いに利用しているサイトが「GPV気象予報」だ。「雨量・雲量」「気圧・風速」「気温・湿度」「沿岸波浪」などの予報が264時間先まで地図上に表示され、しかも1日に何度も更新される。夏は暑く冬は寒いのは釣りでは覚悟の上なので、「気温・湿度」の予報はあまり気にかけない。しかし、何日も先までの「風速」「沿岸波浪」、そして寒い季節の「雨量」は極めて重要だ。

 「GPV気象予報」か~。
ついYahoo!天気を見ちゃうよね。