本を売るなら新刊書店!? 出版不況…古書販売に力


7月31日8時0分配信 産経新聞

 新刊書店が古書を販売する動きが目立ってきた。絶版や品切れの希少本を並べるだけでなく、読み終わった本を店頭で買い取る新刊書店チェーンも出ている。本離れやインターネットの普及などで出版市場が縮小し、本の“寿命”も短くなる一方。新刊だけにこだわっていては、客が求める品ぞろえを提供できない、という事情もあるようだ。(海老沢類)

 三省堂書店神保町本店(東京)は、昨年10月からSF限定で古書専用棚を設けている。「坪当たりの売り上げは新刊書の1・5倍。コアなファンが多く、集客増にもつながっている」。手塚幸弘・社長室長は上々の手応えに目を細くする。

 古書の棚はSFの新刊が並ぶすぐ横にある。古書サイト「スーパー源氏」を運営する紫式部横浜市)の協力で、絶版・品切れの古書約200冊をそろえ、1冊数百円から2000円程度で販売している。昨年夏に期間限定で行ったSF古書フェアが大好評。もともとSFの品ぞろえが強みだったこともあり、古書棚の常設に踏み切った。手塚室長は「古書を置けば幅広い品ぞろえができる。ミステリーや時代小説に広げても面白いかもしれない」と話す。

 同じ神保町にある東京堂書店も「フェアでの売れ行きが好調だった」として、今年3月に文庫古書の在庫をこれまでの倍の1万冊に増やした。

 新刊書店が古書販売に力を入れる背景には、長引く出版不況への危機感がある。出版科学研究所の推計によると、平成19年の書籍・雑誌の販売金額は前年比3・1%減の約2兆853億円。若年層の本離れなどが響き、この10年だけで約20%も減った。書店の淘汰(とうた)も急速に進んでおり、他店との差別化を図るために自ら買い取りに乗り出す店も増えている。

 フタバ図書広島市)は39店に買い取りカウンターを設置、古書在庫は100万冊を超える。新刊と割安の新古書が同じ店内に並ぶが、「『買い取ってもらえるから新刊もたくさん買える』という好意的な声が多い。心配された新刊販売の落ち込みはない」という。

 高価買い取りをうたうのは平安堂(長野市)だ。新刊のベストセラーなら「定価の半額」が買い取りの目安。発売3カ月以内の新刊は30%、3年以内の近刊でも15%程度と高めに設定し、大手の新古書チェーン店を利用していた客も取り込みつつある。

 同社の北島伸哉・古書センター長は「新刊の出版点数が増え続けることで、名著が品切れ・絶版になるペースがどんどん早まっている。もはや新刊を並べるだけではお客さまの要望に応えられない」と話す。今年2月には、古書の併売に積極的な勝木書店(福井市)、田村書店大阪府豊中市)、金高堂書店(高知市)の3社と共同出資の新会社を設立。今後は共同での仕入れを進め、古書の調達力を高めていくという。

 返品できない古書の在庫をどう管理していくかや値付けのノウハウなど、検討課題も多いが、本の選択次第で個性的な売り場を作れるのも事実。出版不況の打開策として「古書の併売」はひとつのキーワードになりそうだ。

個人の意見

 学生時代は「神田の古本市」が楽しみだったし、今はブックオフのヘビーユーザー(自称、清水国明氏の1000倍以上ヘビーだと思う)。ヤフオクまで使って、資料収集していますが、本当に最近、絶版となるのが早すぎますね~。

 自分のなかで「古本は一期一会」だから、見つけたら即買い、迷ったら次はないと思っています。