水中カーテン:在来の小魚守る 伊豆沼実験池に設置


毎日新聞 10月23日(日)10時56分配信
 環境NPO法人「環境生態工学研究所」(仙台市若林区)は栗原市の伊豆沼わき実験池で、在来の小魚がブラックバスの食害から身を守る隠れ家となる「水中のカーテン」設置実験を今月開始し、22日、市民向けセミナーで概要を説明した。廃物資材を利用した簡便な構造で、バス自体の駆除とは違う別角度の在来魚保護実験として注目される。
 「カーテン」はアシ(ヨシ)の茎を6~7センチに短く切り釣り糸を通したものを数センチ間隔で何本もつるした作り。竹のリングやロープ、木ぐいなどを使って水中にカーテンを張り、小魚がカーテンを通り抜けて逃避するか、サイズの大きなバスをカーテンがブロックするかを探る。
 設置したカーテンは幅、縦とも50センチサイズ。小魚が寄って来るのが確認されカーテン自体が忌避される懸念は薄いという。1年間実験を続け実効性が判明すればバスのいるため池で実証実験に移る。
 カーテン作りは仙台市泉区の通所授産施設「ふれあい作業所」の通所生が協力し、環境と福祉の融合的活動としても斬新だ。実験費用は三井物産環境基金の助成。同NPO研究員の大谷考一さん(37)と須藤哲平さん(32)は「小魚の避難所作りが共通認識。カーテンには通所生の知恵と労力がこもっており、実験に熱が入る」と話している。【小原博人】

10月23日朝刊


河北新報 10月23日(日)8時39分配信
 仙台市NPO法人・環境生態工学研究所が、湖沼にすむ在来種の魚がブラックバスなどの外来種から身を守るために逃げ込む装置「湖底の森」を開発した。効果を検証するための実験を伊豆沼(栗原、登米市)で始め、22日、栗原市の県伊豆沼・内沼サンクチュアリセンターで説明会を開いた。
 装置は、切断してストロー状にしたヨシに釣り糸を通して作る通称「ツリー」が主な部材。ツリーを数センチ間隔で湖底に並べ立て、隙間から小型の在来種が入る。研究所研究員の大谷考一さんは「バスに追われる小魚が逃げ込む森が水中にあるイメージ」と解説した。
 大谷さんは効果の検証計画も説明した。ツリーで四方を囲んだ直方体の装置3体を10日、伊豆沼の実験池に設置。水中カメラで1年間観察する。在来種はヨシに付着する藻を餌とするため装置に近寄る。装置はそれぞれツリーの間隔が異なり、どのタイプが外来種の侵入を防ぎ、在来種の隠れ家に適するかなどを調べる。
 かつてマコモを水面に浮くように栽培したところ、根に小型魚類が隠れ、効果があったという。しかし自然素材では管理が難しいため、人工装置の開発を進めた。大谷さんは「将来的には、伊豆沼上流のため池にツリーを幾重にも張ってバスの侵入を防ぎ、沼の生態系を守りたい」と話した。
 ツリーは仙台市泉区の通所授産施設「ふれあい福祉作業所」が作製した。説明会には施設利用者ら約70人が出席し、研究所の活動内容やツリーの役割に理解を深めた。

最終更新:10月23日(日)8時39分

個人の意見

>バス自体の駆除とは違う別角度の在来魚保護実験として注目
>「カーテン」はアシ(ヨシ)の茎を6~7センチに短く切り釣り糸を通したものを数センチ間隔で何本もつるした作り。竹のリングやロープ、木ぐいなどを使って水中にカーテンを張り、小魚がカーテンを通り抜けて逃避するか、サイズの大きなバスをカーテンがブロックするかを探る。


 昔の水辺は浅場にアシ原やマコモが鬱蒼と繁茂していて、自然に“カーテン”が存在していた。
食害が気になる釣り場の岸辺に立って、以前との風景と目前を比較していただきたい。
 その足場のよさと引き替えにしたものって何だろう。